今から11年前、吉見義明・中央大教授にロングインタビューを行ったことがある(全文は「日本と朝鮮を考える―明日へのメッセージ」所収・本社刊)。国連人権委で、「慰安婦」制度は、「日本軍奴隷制」だとする「クマラスワミ報告」が決議された直後のことだ。 92年1月、同教授によって、日本軍が「軍慰安所」を設置した資料を発掘したことが、新聞で公表されると、翌日、加藤紘一官房長官(当時)が日本軍の関与を認め、翌日には、謝罪談話の発表を行った。ところが、この談話では、強制の事実を認めなかったため、内外から批判が続出。結局、93年8月、河野官房長官談話で、強制の事実も認めた。しかし、この河野談話の問題点についても同教授は、「政府や軍は『要請しただけであり、慰安婦の徴集、軍慰安所制度の運用の主体は業者である』かのように言っていることです。『従軍慰安婦』制度の創設、運用の主体が日本国家であったことや国際法違反を認