2010年5月30日のブックマーク (2件)

  • 他人の骨を預かってます - Everything You’ve Ever Dreamed

    骨壷を預かっている。愛人宅で亡くなったせいで奥さんに受け取りを拒否され行き場を失ったオッサンの骨。奥さんと僕の母は親友という間柄ではあるが、僕とは面識のない他人の骨だ。(参考id:Delete_All:20100524) 骨壷との同居以来、ホネホネロックの夢にうなされ、眠りは浅く、抜け毛もひどい。他人の情事のために、なぜ僕が、どうして僕が苦しい生活を送らなければならないのか。理不尽だ!古より、死して屍拾う者なし、って言うではないか。引き取り手のいない、腹上死した男の骨だ。僕は、トイレから流してやろうと一念発起し骨壷を抱えてトイレへ向かった。 5分後、僕は洋式便所を前に立ち尽くしていた。骨壷を小脇に抱え絶望していた。これからの長い人生を、排尿排便のたびに他人の骨を流した記憶を思い出して生きていくのはあまりにも辛すぎる。便器は墓石のように静かだった。ブルーレットは青々としていた。便器のまえに立

    他人の骨を預かってます - Everything You’ve Ever Dreamed
    Sucker
    Sucker 2010/05/30
    最後の段落の書きぶりが凄い。
  • 家なんて売ってしまえばいいと僕は言った。 - 2010-05-30 - Everything You’ve Ever Dreamed

    我が家は関東大震災の直後に建てられた。親父が亡くなって、すこし落ち着いたころだと思う。そんな古い家に我慢できずに、僕は母に言った。「こんな古い家なんて売りに出してさ。新しい町でやりなおそう。鎌倉って高く売れるらしいしさ」。母は、そんなうまくいかないでしょ、といって聞く耳を持たなかった。そのときは笑い話の枠を越えずに終わった。けれども僕は気だった。一家の大黒柱を失って不安でたまらなかったのだ。将来を考える余裕はなかった。古い家は、これくらいのことで情けないとでも言っているようだった。不甲斐ない僕に圧力をかけてくるように思えた。人生が川なら、僕は、その深さを恐れて、何もできず、いや、何もしなかったのだ。ただ、闇雲に、楽な方法を探していたのだ。重圧を、古い家を川底に沈めれば、足が届くようになると錯覚して。 ある晩、僕がアルバイトから帰ってくると、卓のうえに手紙が置いてあった。母はパートに行っ

    家なんて売ってしまえばいいと僕は言った。 - 2010-05-30 - Everything You’ve Ever Dreamed
    Sucker
    Sucker 2010/05/30
    "川は深い。僕だけでなく、誰にとっても。深さからは逃げられない。泳いでしまえば深さは関係ない。不細工で、格好悪くても、滅茶苦茶でもいい。手足を動かして進んでいけばいい。"