ブックマーク / magazine.kairou.com (1)

  • 『回廊』第15号: 『僕らは海に捨てに行った』

    もしも運命というものがあるとしたら、夏のあの日に目覚まし時計のアラームをセットし忘れていつもより十五分遅く起きてしまったという出来事がまさにそれに当たるのかも知れない、と今になって思うことがある。 髪を整える余裕は無かった。朝を取るなんてことは考えられなかった。とりあえずパジャマを脱いでシャツを着て、その上にカッターシャツを羽織る。鞄の中身はいつもと代わらない教科書とノート、そして筆箱やら下敷きやらだ。リュックサックを背負う。中に入っているのは英和辞典と様々な小説。とりあえずそれらを掴んで、僕は自転車に乗った。 間に合って欲しい、と思っていた。高校に入ったばかりの僕は早くも授業の内容に追いつけなくなっていた。だから夏休みの時期であるとしても、この期間に学校で行われる補習には参加しておきたかった。成績が下がってくるとこれまでみたいに悠長にを読んだり友達と遊んだりすることが出来なくなるのは

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