「いま三十代ぐらいで、 戦争でもないのに周りでバタバタ人が死んで、 気づけば友人や仲間は誰ひとりいなくなって、 寂しさより先に自分の番が来るのを怯えてて、 世界に大義なんてものはなくて、 人生に目的なんてものはなくて、 生命に意味なんてものはなくて、 痛めつけられた猫が車の下で傷に舌を這わせるときみたいな、 ほんの小さな平穏と安堵だけがただ続けばいいと願っている、 そんな君に向けた、萌え萌え学園ファンタジー」 プロローグ 我が敵は頭上にあり。 血と汗は足元に滴りて、豪奢な模様をなす。 我が脚は腰を貫き、尻でようやく釣り合えり。 我れ、反り返るは古代人の弓の如し。 すさまじいプレッシャーが、両腕を通して全身を伝わるのがわかる。 魂を高揚させていなければ、おそらく最初の衝撃だけで潰れてしまっていたに違いない。 まるで、轍に轢かれる蟷螂のように。 またひとり、崩れ落ちる。倒れたあとも、手のひらは