鴨居玲 Kamoi Rei (Rey Camoy) (1928-85) ”人はたった一人では生きてゆけない。だが人の夢や志は誰れにも身替りしてもらうわけにはいかない。 他者と共に営む生活と、孤立無援の思惟との交差の仕方、定め方、それが思想というものの原点である。(高橋和巳)” この交差の仕方の、高いか低いかが、その人間の生きざまというものであろう。 「1982年 私」1982 描けない、私。 その恐怖、その苦しみ、その狂気。 既に画家として認められたその時期にこそ、 より強くなって襲いくるものたち。 周りには「次の作品を・・・」と待ち焦がれる人の群れ、 それは過去に彼が描いてきた人間たち。 キャンバスの鮮烈な白さが、 呆然とする顔を亡霊のように浮かび上がらせる。 「絵は私にとって苦痛そのものです」 そう言った画家の、晩期の自画像。 「ピエロ」1983 おどけた外見とうらはらに、 道化師には