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  • はり重のテキ|おっさん画報|菅野完

    祖父は寿司屋の大将であった。寿司屋といっても白木のカウンターがあって、清潔な三和土の上に行儀のいい椅子がならんでいるなんてのを想像してはいけない。全席テーブルで、うどんもあれば中華そばもあり、オムライスも出せば、焼肉定も出す。客といえば近所の人達であり、駅近くという立地から電車を待つ間に通勤客がラーメンを啜って行く。いわば「駅前堂」。看板には「寿司 丼物 うどん そば、麺類一式」とある。関西にはこの種の店が、昔は沢山あった。 子供の頃、この祖父に随分とかわいがられた。なにかあれば「美味しいもん、いに行こか?」と言う。奈良のそれも吉野という辺鄙な場所にある田舎の駅前堂といえども、高度成長期の波に乗ってそれなりの財もこしらえている。今から思えば金満家であった。年端もいかない我々孫たちを、大阪や京都の名だたる名店にどしどし連れて行く。当時の私はまだ10歳やそこら。「大人の世界」に連れて行

    はり重のテキ|おっさん画報|菅野完
    Sucker
    Sucker 2017/09/05
    "「豚まんは、よう売れる。あれは売れる」" "「南京でもな、最後の最後まで、豚まんは売ってた。俺らも買うた。向こうは向こうで命がけで売ってた。売って食べて、食べて売ったんや」"
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