同人誌での2次創作の承認を示すマーク。クリエイティブ・コモンズの日本支部が一般に公募し決めた 【赤田康和】「同人誌での2次創作・販売はOKです」――。インターネット時代に合わせた作品の流通促進をめざす世界的団体「クリエイティブ・コモンズ」の日本支部が、ファンらの2次創作を漫画家が許可する際に自分の作品に付けるマークをつくった。プロの漫画家赤松健さんが28日発売の「週刊少年マガジン」の新連載で初めて使う。 同人誌の即売会コミックマーケット(コミケ)などでは、ファンがプロの作品から登場人物や設定を借りてきて、新しい物語にした作品が流通している。アマチュアによる2次創作の裾野の広がりが日本の豊かな漫画文化を支えているといわれる。 著作権法では、許可なく2次創作した作品を販売するのは違法。ただ業界関係者によると、プロの漫画家がファンによる2次創作とその作品の小規模な販売を問題視した事例はほと
こんにちは、江端智一です。 前回記事『著作権法やTPPと闘うための最終兵器「ライセンス」は、なぜこんなに“面倒くさい”?』では、「ライセンス」についてご説明しました。 「ライセンス」とは、ある条件を満たす場合、例外なく「例外」を認めるものです。例えば、初音ミクの絵は、日本国著作権法に基づき、例外なく日本国民の誰一人として利用できませんし、その絵をベースとして別の絵をつくることも許されません。しかし、ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)に従う限りは、例外的に初音ミクを使うことが可能となります。 これをツンデレ風に表現すると、 「か、勘違いしないでよね。ベ、別に、あなただけに『許諾』するんじゃないんだからね」 と一言で表現できる、というお話もいたしました。 原作者から提供される「ライセンス」には、著作権法の制約に穴を開けて、二次創作を安心して行わせるという素晴らしい効力があるのですが、
こんにちは、江端智一です。 前回「ライセンスの絶望的な“面倒くささ”を救済するクリエイティブ・コモンズ・ライセンス」では、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(以下、CCライセンスといいます)」についてご説明しました。 CCライセンスとは、「私の著作物(創作した作品)を使っていいわよ」という意味の「キスマーク」、または「ハンコ」のようなものです。 簡単にいうと、これまでの著作権法の枠組みでは、「許諾」と「不許諾」の2つの「ハンコ」しかつくれなかったことに対して、CCライセンスは、この2つの「ハンコ」の間に存在する、6つの状態の「ハンコ」をつくって、それを著作物に表示し(貼り付け)て使えるようにしたものです。 CCライセンスのメリットは、著作権者が、面倒なライセンスを「つくる」のではなく、「選択する」だけで、おおむね自分の希望する形で作品を利用してもらい、利用者側はライセンス条件に違反しな
こんにちは、江端智一です。 前回「著作権侵害の同人誌でも、コミケ会場なら許される? マンガ家の太鼓判『黙認ライセンス』」では、赤松健先生の提唱された「黙認ライセンス」(CVライセンス)の概要についてご説明致しました。 「二次創作同人誌の作者による、コミケ当日だけの販売を許す」ことを、既存のライセンスで実現することは難しいため、赤松先生は、「自分の作品のキャラクターの無制限の使用を許諾しない。だが、コミケでの販売に関しては『見て見ないふり』をする」という新しい概念―― 「黙認」を案出されました。 ●まったく新しい概念「黙認」とは 「黙認」、すなわち「見て見ないふり」というのは、こういうことです。 ・私(赤松先生)は、コミケによる、私の著作物に関する著作権違反が存在していることを「知っている」 ・しかし、コミケ開催中の同人誌の販売については、私(赤松先生)は「騒ぎ立てるつもりはない」。 つまり
作家など著作権者が第三者による一定範囲の2次創作活動を認める意思表示のためのマークとして構想されている「同人マーク」のデザイン案募集が始まった。 クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)の運営母体「コモンスフィア」は7月17日、作家など著作権者が第三者による一定範囲の2次創作活動を認める意思表示のマークとして構想されている「同人マーク(仮)」をこの夏にリリースすると発表した。これに先だってマークのデザイン案を7月28日まで一般公募する。 日本のTPP参加による著作権の非親告罪化をにらみ、日本における2次創作文化を保護または促進するための1つの試みとして以前から漫画家の赤松健さんがCCJPに提案していたものを原型にしている。CCライセンスとは切り離した形での運用が想定されており、その基本コンセプトは以下の3点。 作家が自分の作品について付けるもの(作品を公開するホームページ上や雑誌上な
by Viktor Hertz 同人活動に関する著作権の意思表示ツールとして「同人マーク(仮)」のデザイン案が2013年7月17日(水)から7月28日(日)24時までの間、公募されることになりました。既に2013年晩夏に予定されている講談社「少年マガジン」における赤松健氏による新連載のマンガからこの公募で採用された「同人マーク(仮)」が順次採用される予定となっています。 「同人マーク(仮)」のデザイン案の募集のお知らせ | commonsphere http://commonsphere.jp/archives/286 選考委員は以下の5人となっており、「週刊少年マガジン編集長」が入っているのがポイント。つまり、本気で現在連載中のマンガなどに適用していくつもり満々、ということです。 ・赤松健(漫画家、Jコミ代表) ・菅原喜一郎(講談社週刊少年マガジン編集長) ・ドミニク・チェン(コモンスフ
漫画家の赤松健さんは3月27日、文化庁が主催した「著作物の公開利用ルールの未来」に関するシンポジウムで、漫画の2次創作文化を守るための新ライセンスを、クリエイティブ・コモンズ(CC)に提案した。昨年にも同様な目的でライセンスを提案していたが、「コミケ準備会に突っ込まれた」そうで、新たに、コミケなど即売会当日に限定した新ライセンスを提案。「黙認」を意思表示するというユニークなものだ。 「クリエイティブ・コモンズを普及させるには、漫画ですよね」――赤松さんはそう切り出し、新マーク「CV」(connivance、黙認)を説明する。 「作者として、公式には2次創作は認められないが、従来までのような常識的な範囲内なら、同人誌即売会の当日だけ、無料で2次創作を黙認する」という意思を表示できるマーク。丸い円の中に黒色で人物マークが描かれ、その後ろにもグレーで人物が描かれている。前の人物が著作者で、後ろの
漫画家の赤松健さんは12月12日、作家が2次創作同人誌を公式に認めるための新ライセンスを、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)に提案した。日本がTPPに参加し、米国が求めている知財条項が導入された場合にも、漫画用の2次創作文化を絶やさないための提案。CCJPがサポートを表明すれば、講談社で執筆予定の次回作に新ライセンスを採用するという。 TPP交渉の公開を求める「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」のキックオフイベントで披露した。既存のCCライセンスはデッドコピーが前提で、漫画の2次創作には使いづらいため、日本で普及していないと指摘。デッドコピーや原作からの切り貼りを禁止した新ライセンスを提案する。 新ライセンスは許諾内容・範囲に応じて3段階を提案している。 デッドコピーや原作からの切り貼りでなければ、2次創作同人誌を勝手に作ってもうけてもOK。ただしエロ(性行為
今年9月、漫画家の佐藤秀峰さんは研修医の過酷な日常を描いた「ブラックジャックによろしく」を著作権フリーにすると宣言した。ドラマ化もされた人気作だ。インターネットが浸透している現在、どう作品が広まり、作者にどんな利益があるのかを見る実験だという。「パロディーを合法的にできるなんて」。凸版印刷系の電子書店BookLiveのコンテンツ企画チームの田中圭一さん(50)は佐藤さんの行動に衝撃を受けた。そ
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています 漫画「ブラックジャックによろしく」が9月15日より二次利用自由になる。作者・佐藤秀峰氏のTwitterによると、「アプリ化してデータを販売することも、アニメ化、映画化、テレビドラマ化を行ない商業作品として上映することも、関連グッズを制作して販売することも、同人で二次創作を行なうことも、あらゆる作品の二次利用をどなたにでも認めます」とのこと。 アプリ化してデータを販売することも、アニメ化、映画化、テレビドラマ化を行ない商業作品として上映することも、関連グッズを制作して販売することも、同人で二次創作を行なうことも、あらゆる作品の二次利用をどなたにでも認めます。 mangaonweb.com/creatorDiarypa…— 佐藤秀峰さん (@shuhosato) 8月 20, 2012 二次創作の許可だけにとどまらず、作品自体の二次利
漫画家の佐藤秀峰さんは8月20日、「ブラックジャックによろしく」について、自由に2次利用できるようにする方針を明らかにした。9月15日以降、商用・非商用を問わず、作品を出版したり、小説化や映画化などを無料で自由に行うことができる。 佐藤さんは「従来の著作権を振りかざして利益を得る方法は段々と古くなっていくはずです」として、自作を2次利用フリーとすることで「どのように作品が拡散し、利用され、著者に利益をもたらすのか、もたらさないのか、その調査をしたいと思っています」と狙いを記している。 2次利用の自由化では、商用・非商用問わず、作品をネットに掲載したり、国内外で書籍として出版したり、翻案やアニメ化、小説化、映画化、テレビドラマ化したり、グッズを製作して販売したり、同人作品で2次創作を行い同人誌として販売する──といったことが自由に行える。利用について事前連絡は不要で、使用料なども一切要求しな
電子書籍の普及に向け著作権法の改正議論が白熱している。議論の争点は出版社にどの程度権利を付与すべきか。ここ数カ月でもめまぐるしい動きを見せるこの問題について、本稿では、漫画家であり絶版コミックの無料配信サイト「Jコミ」を運営する赤松健氏に著作権者の立場から話を聞いた。 漫画家、そして絶版コミックの無料配信サイト「Jコミ」を運営する赤松健氏。同氏が3月に「出版社が著作隣接権を求める理由」を講談社に直接問い合わせたことは、編集者のみならず法曹関係者もネット上の議論に参加するなど大きな波紋を広げた。 AmazonのKindleが年内に日本でもサービスを開始するともされる中、Googleブックサーチが引き起こした「本は誰のものか?」という議論が再燃した形だが、この動きは現在、中川正春衆議院議員(現・内閣府特命担当大臣、元文部科学大臣)の勉強会が一定の方向性を出し、著作権法の改正試案としてまとめられ
「マンガやアニメは好きだけど、中の人は飢え死にしてもいいです」そんな心の中の声が聞こえてきそうだ。 先日、アニメ化もされたマンガ『黒執事』の作者・枢やな氏が公式ブログで「友達からROMで借りて読みました」「1期全部海外動画サイトで見ました」などのメールを送ってくる、「ファン」を称する人々のモラルのなさに非難する文章をアップし注目を集めた。そして、正規のルート以外で違法にアップロードされたマンガやアニメを入手・閲覧している人々の意識は、世界のどこでも同じらしい。 8月にアメリカ・サンディエゴで開かれたマンガ・アニメを中心としたポップカルチャーの祭典「コミコン・インターナショナル」。そこで催された、オンラインの違法コンテンツをめぐるシンポジウムの中で、参加者の一人が客席から次のような発言をしたという。 「出版社はスキャンレーション(後述)のサイトを、(どのマンガが現在ファンの間で流行っているか
ビッグコミックオリジナル連載中のコミック「弁護士のくず」の作者および小学館が、「マンガ内のエピソードが盗作に当たる」として訴えられてた訴訟で、6 月 29 日、知的財産高等裁判所 (知財高裁) は作者側勝訴の判決を下した (小学館の発表資料) 。 「弁護士のくず」はユニークな弁護士・九頭 (くず) がさまざまなトラブルや訴訟を解決するというマンガ。これに対し、弁護士の内田雅敏氏がマンガ内の一部のエピソードに対し、同氏の著作である小説「懲戒除名」の盗用であると主張、裁判となった。 判決では、内田氏の著作は実際の社会的事件を元に執筆されており、また「弁護士のくず」もこの事件を参考にして執筆されたため、著作権侵害にはならない、との主張が全面的に認められたことになる。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く