おのれの欲望に忠実に生きる男たちを主人公に、弱肉強食の世界を清々しいまでにクールに描いてみせた北野武監督のバイオレンスオペラ『アウトレイジ』(10)。東日本大震災の影響で撮影が延期された続編『アウトレイジ ビヨンド』だが、今回も北野監督らしい理数系的なシャープな演出が堪能できる。大企業が下請けの中小企業をいいようにコキ使う現代社会の写し鏡だった前作に対し、今回は裏社会を牛耳る二大勢力の間に新たに“第三極”が割って入り、勢力図を塗り替えていく。民主党と自民党の間で“橋下新党”が揺さぶりを掛ける日本の政界事情によく似た展開だ。 金と出世のために、裏切り、密会、結託を繰り返すヤクザたちの世界を描いた『アウトレイジ』シリーズの第2弾。前会長(北村総一朗)を亡き者にした加藤(三浦友和)が新会長に就任し、「山王会」は関東一円を支配する巨大暴力団としてますます勢力を強めていた。大友組の金庫番だったインテ