永田晃也の『イノベーションプロセスの複雑性』(BBIQモーニングビジネススクール, 2007年11月6日)にコメントしながら思ったのだが、1956年7月1日にアメリカ連邦政府が「当分の間Dvorak配列を採用しない」という決定を下したことは、あまり知られていない。このあたりに関して、私が調べたことを、ここに記しておこうと思う。 1955年11月21日、アメリカ連邦政府のGeneral Services Administration (GSA)は、Dvorak配列に対する比較実験の開始を発表した。発表にあたって、長官のEdmund Forsman Mansureは「Dvorak配列が、QWERTY配列より本当に35%も効率を向上させるのなら、連邦政府が有する80万台のタイプライターを60万台に減らすことができる」とコメントした(『Charleston Daily Mail』1955年11月2