「ランクを考慮しないなんて衝撃的だ」──。 全国122万の中小企業を束ねる日本商工会議所の労働調査担当者はがく然とした。国の中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は7月14日、2021年度の最低賃金を28円引き上げ、全国加重平均の時給を930円にすると決めた。現在の方式になってから過去最大の上げ幅だが、経営側にとって驚きなのは「全国一律での引き上げ」ということだった。 これまで国は、各都道府県をA~Dの4ランクに分けて賃金の「目安」を示してきた。地域によって物価や企業の体力も異なるためだ。例えばコロナ危機が起きる前の19年度だと、東京や大阪などAランクでは28円、青森や沖縄などDランクは26円と、引き上げ幅に多少なりとも差をつけていた。それ以前はAとDで引き上げ幅におおむね4円の差を設けていた。それが今回は無差別で28円と、現行方式になった02年以降で初の決断となった。 実はこれまでの
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