今回の参議院選挙で、「改憲勢力」が、憲法改正発議に必要な「3分の2」の議席を確保したという。選挙期間中からしばしば用いられている、この「改憲勢力」という言葉だが、実にわかりにくい。マスメディアが選挙報道で使う際には、自民、公明、おおさか維新、日本のこころを大切にする党を指しているが、この4党が同じ方向を向いているわけではなく、果たしてひとつの「勢力」と呼べるのか、かなり疑問だ。また、「改憲勢力」には入っていない民進党の中にも、憲法を変えたい人はいる。 こういうくくり方をすることで、「改憲勢力vs.護憲勢力」という、一見わかりやすい構図を提示したつもりだろうが、実態を反映しないキャッチフレーズは、国民の問題への理解や思考をむしろ妨げるのではないか。 そのうえ、参院選の期間中は、自民党の徹底した“争点隠し”戦術もあって、国民にはこれが争点のひとつと言われても、何がどうなるのか、具体的イメージが