ブックマーク / brevis.exblog.jp (41)

  • サービス業の生産性と、プロ意識との関係について | タイム・コンサルタントの日誌から

    久しぶりに首都圏に大雪が積もったので、いつもより朝早く起きだして、家の前の雪かきを、ささやかながら行った。既に空は晴れ上がって、少し働くと汗が出る。「雪の明日は裸で洗濯」と言う諺を思い出した。東京の下町、荒川生まれの人に教えてもらった言葉だ。関東では主に2月や3月に雪が降るが、降った翌日は良い天気になることが多い。 雪かきという仕事は相互的だ。お互いに、ちょっとずつ汗をかく。そうすると通り道ができる。隣の家がやらないんだから、うちもやらない、などと言っていた日には、街の中はちっとも歩けなくなる。家の前は公道なんだから、雪かきは行政がやるべきだ、なんて批評して待っていても、問題は解決しない。 まだ公共交通機関もうまく動いていないのに、積もった雪の轍を急ぎ足に出かけていく勤め人の人達も多い。どうしても時間通りに職場に着かなくてはならない立場なのだろう。サービス業的な職種の人達かな、とふと思った

    サービス業の生産性と、プロ意識との関係について | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 考え、気づく場としての空間を設計する | タイム・コンサルタントの日誌から

    目を閉じ、頭を下げて腕組みをする。あるいは、逆に椅子の背にもたれかかって、足を組む。そして、しばらくじっとしている。ほとんど、居眠りをしているのではないかと、疑われるポーズだ。どうみても、働いている姿勢ではない。少なくとも、何かをしてるようには見えない。・・こういうことが、勤務先でのわたしには、ときどきある。 だが、こうした、傍目からは何もしていない(居眠りしている)ように見えるときが、じつは一番働いている瞬間なのだと、わたし自身は思っている。いや、別にクビにならないための言い訳をしているのではない(笑)。それは、自分が集中して考えているときの姿勢だからだ。 逆に言うと、自分がパソコンに向かって忙しくキーボードをたたいているときは、もうアウトプットの段階にいるのだ。あるいは、材料の整理の段階かもしれない。考えるときは、インプットの材料の整理が必要だ。そして、考えた結果は、アウトプットしなけ

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  • シンプル化のすすめ | タイム・コンサルタントの日誌から

    最近、勤務先のPCの環境を移行・再構築せざるを得ない機会があった。まあ、一種のお引越である。面倒な作業だが、このチャンスに、少しファイルやアプリの整理をはかろうと思った。PCを数年間も使っていると、いつのまにか、ローカル環境にも、不要なもの、使わなくなったものが溜まってくる。引越は、ゴミ捨ての良い機会でもある。よし、デスクトップもクリーンにしよう。自分の環境は、できる限りシンプルにしよう。そう、考えている。 わたしは元々、整理整頓・お片付けがそれほど得意ではない。机の上は、ほっとくとすぐ乱雑になってしまう。読んだりファイルしたりしなければならぬ書類が、どんどん積み上がっていく。そのあげく、書類探しで余計な時間を費やすことになる。忙しいから書類整理の時間がとれない、と自分では思っているのだが、その結果、生産性が下がって、さらに自分を忙しくしているのだ。こういうことを何年間も繰り返し、さすがに

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  • クリスマス・メッセージ:サンタは存在するか? | タイム・コンサルタントの日誌から

    白髪。白い頬髭。男性。年齢は70歳以上かと思われる。白色人種だが、赤ら顔。真っ赤なウールの外套と帽子をかぶっていることが、目立った特徴である。職業、住所は不詳。ただしフィンランド国ロヴァニエミ市宛てに、郵便を出すことは可能らしい。トナカイの引く雪橇という、北国風の珍しい移動手段を使う。それで空を飛ぶという噂もあるが、目撃者は皆無だ。 家の屋根におりて、煙突伝いに暖炉から侵入するらしい。ただし暖炉のない家にも訪れるという。侵入経路は不詳である。そして、眠っている子ども達に、おもちゃなどのプレゼントを贈る。それもなぜだか、下に入れておくらしい・・ 子ども達が、「サンタさんなんていない」と思い始めるのは5歳から小学校の低中学年の頃である。幼稚園や小学校の年上の子から、「あれって、両親がこっそりプレゼントを寝てる間におくんだよ」という『真相』を教えることが多いらしい。それでも、小さい子は半信半疑

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  • わたしはなぜ、「プロジェクト管理」という言葉を使わないのか | タイム・コンサルタントの日誌から

    旅先ではいつも、その土地のものをべるのが習慣だ。だが、ときおり、外国で日料理屋に入ることもある。そして、たまに面らうような体験もする。いつだったか、アメリカの日料理屋で事を頼んだら、まっさきに味噌汁だけが出てきた。ふつうの街にある店で、来客はアメリカ人が多い。どうやら彼らの概念では、味噌汁はスープだから(Miso soupとよばれる)、真っ先に出すのが当然だということらしい。味噌汁を飲み終えたら、メインのおかずとご飯が出てきて、妙な気分だった。 汁物をsoupと訳するのは、もちろん正しい訳だ。だが日語で言う汁物と、英語スープは微妙に違う。たとえば英語では、スープべる(eat)という。日人で、「味噌汁をべる」という人は滅多にいるまい。ふつうは飲む、を使う。そして、当たり前だが、ご飯と一緒にいただくものだ。

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  • ダイレクト・ガントチャート方式の問題点 〜 やはりExcelで工程表を書いてはいけない (1) | タイム・コンサルタントの日誌から

    このほど、自分で「マイ・ベスト・セレクション」なるを編んでみた。過去17年間に書いてサイトに公開した数百の記事の中から、自分が気に入っているベスト12を選んで、ePub形式の電子書籍をつくってみたのだ。まあ書籍といっても、素人のつくった手製(手編み?)ので、いってみればβバージョンではある。ベスト・セレクションの中には、アクセス数の多かった記事も入れたが、目立たないけど愛着のある記事も選んだ。多少は文章に手を入れたつつも、なるべく発表当時のスタイルを残している。 ところで、わたしのサイトには、アクセス数で言うとダントツ1位の記事がある。「Excelで工程表を書いてはいけない」(http://brevis.exblog.jp/9052344/)という、2008年11月24日の記事だ。もう9年前の記事だが、いまだに毎週のBlog記事ランキングのトップに位置し続けている。 そして、実を言うと

    ダイレクト・ガントチャート方式の問題点 〜 やはりExcelで工程表を書いてはいけない (1) | タイム・コンサルタントの日誌から
  • プロジェクト計画のロジックとは何か 〜 やはりExcelで工程表を書いてはいけない (2) | タイム・コンサルタントの日誌から

    前回の記事「ダイレクト・ガントチャート方式の問題点」http://brevis.exblog.jp/26231556/ で、世間ではそもそも「WBS」とか「Activity」という概念のレベルで、誤解や混乱があると書いた。 たとえば、WBS=「ガントチャートの線表に引いた線の集合」だ、と理解している人達を、よく見かける。ためしにネットで、「WBS スケジュール」の2キーワードで検索をかけてみると、よくわかる。上位の検索結果に、こういう説明が出てきたりする:

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  • PMの世界はどこに向かうのか 〜 PMI世界大会2017に参加して | タイム・コンサルタントの日誌から

    米国で10月28日から30日まで開催された、PMI Global Conference 2017 https://www.pmi.org/global-conference/about というカンファレンスに参加してきた。PMIはProject Management Instituteの略で、ご存知の方も多いと思うが、米国発・世界最大のプロジェクトマネジメント専門職団体である。全世界に40万人以上の会員を擁し、通称「PMBOK Guide」(正式名称"A Guide to Project Management Body of Knowledge")と呼ばれるPMの標準書を制定、さらにProject Management Professional(略称PMP)という資格試験認定制度を有している。世界で最も影響力の大きなPM関連団体だ。 そのPMI Global Conference(長いので

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  • マネジメント・テクノロジーを考える場にようこそ | タイム・コンサルタントの日誌から

    新サイトの目的は、マネジメント・テクノロジーのための情報源とすることである。そのために、2000年4月からずっと開設運営してきたわたしのサイト「革新的生産スケジューリング入門」のコンテンツを、全面的に移行した。SCM・BOM・PMITなどに関わる数百の記事がある。これに加えて、個人的に書いてきた「気まぐれ批評集」なども移してある。 このサイトは、近いうちに、マネジメント・テクノロジーを学ぶコミュニティのためのプラットフォームとして、拡張していきたい。現在、わたしが主宰している『プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会』の「PM教育分科会」では、世に類例のない新しいタイプのPMトレーニングを開発中である。これに関連するフォーラムや、e-Learningなどを今後、立ち上げたいと考えている。とはいえ、こちらはまだ構想段階なので、現時点ではわたしの個人コンテンツ集の体裁になっている。

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  • 能力評価のレベル0からレベル2まで 〜 組織を作る概念のシステムとは何か | タイム・コンサルタントの日誌から

    生まれて初めて乗った飛行機は、アエロフロートだった。大学院の修士課程をでる前の3月、わたしは一人で卒業旅行にでかけた。まだ旧ソ連の時代だ。旅行の行き先はドイツスペイン、そして英国。モスクワ経由でフランクフルトに向かい、ドイツ中部の家々の屋根の色を見下ろしたときの印象は、今でも鮮明だ。ドイツでは父の元・部下で、当時フランクフルト近郊の現地法人で働いていたNさんに、いろいろとお世話になった。スペインでは、マドリードにあった父の会社の取引先の方が一緒に夜、事をしてくださった。今考えると、いくら取引先のキーマンの息子だとは言っても、取るに足りぬ生意気な若造のお相手をしてくれた訳だ。まことに頭が下がる。 行く先々で聞かれた質問が一つあった。「なぜ、お父さんの会社に行かないのですか?」という質問だ。ドイツでもスペインでも現地の人に聞かれた。わたしにはむしろ、「へえー、ヨーロッパ人って、そういう考え

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  • 人材配置・昇進のレベル0からレベル2まで | タイム・コンサルタントの日誌から

    わたしが主宰する『プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会』では先日、「プロジェクト・マネジメントの1日研修トライアル」という催しを開いた。これは、わたし達の研究部会の中にある「PM教育分科会」というグループが、オリジナルに開発中の研修プログラムについて、希望者を募って“βテスト”を実施したものである。参加者がいるか心配だったが、幸いにも10数名の方が申し込まれ、休日を丸一日つかってわたし達の研修プログラムを体験し、有用性を検証していただいた。 その内容はまだ開発中のため、ここで詳しくは述べないが、社会人向けの、初中級者レベルのコースとして設計したものだ。もちろん世の中には、すでに多数のPM研修がある。だが、その多くはPMBOK Guideなどの知識を座学で学ぶ、資格試験対策である。あるいは逆に、ケーススタディの討議中心で、しばしばプロジェクトの火消しなどの題材を扱っている。だが、そも

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  • マネジメントのレベル0からレベル2まで | タイム・コンサルタントの日誌から

    九州・佐賀県の唐津市。玄界灘に面した市のはずれに、名護屋という場所がある。Google Mapの航空写真で見ると、緑の多い、人家の少ないのどかな土地だ。かつてここに、一里四方の広さを持ち、10万人以上が居住する一大都市が、ごく短期間だが存在していたことを知る人は少ない。 その都市をつくるよう命じたのは、太閤秀吉である。彼が晩年、大陸支配をねらった戦争(後に文禄の役とよばれることになる)をはじめるにあたり、出陣の基地としてこの名護屋港を選んだのだ。彼は全国の諸侯・武将に、この辺鄙な港へ集結し、各人の負担をもって、都の聚楽第に遜色がないほど豪壮な城と館を築くよう言い渡した。そして数万の人力を投入し、半年ほどの短期間のうちに完成させた。 全国の大名武将たちは、たとえ些細な手落ちでも関白に訴えられ、無能者として俸禄を没収されかねないので、「自ら家臣を率いて森や遠方の山に出かけ、材木を切ったり、城壁

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  • ミニレビュー:携帯用折畳みキーボード 3E Wallet | タイム・コンサルタントの日誌から

    3E社の携帯型折りたたみキーボードを6ヶ月ほど使ってみたので、感想を書いてみたい。商品名は”Wallet”という名前で、型番は3E-BKY4である。接続はBluetoothで、MacOS, Windows, iOS, Androidとすべて使えるようだが、わたしはもっぱらiPad Pro 9.7’と組み合わせて使っている。 (1) 薄くて軽いこと。厚さは6mmない。折りたたんでも13mmで、とにかく薄いので、携帯性にすぐれている。カバンに入れても邪魔にならないし、iPad(わたしはスマートカバーをつけて使っている)と重ねて持った際も、とても持ちやすい。重量は176gで、これも際だって軽い。

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  • すべての工場は空調を付けるべきである | タイム・コンサルタントの日誌から

    前にも書いたような気がするが、冷房が苦手である。20代の終わりころ、南国で冷房病にかかった。以来、冷たい人工の風にあたり続けると、次第に首肩の筋が緊張し、頭痛がする体質になってしまった。電車は、だから弱冷房の車両を探して乗る。職場でも、なるべく冷房の風があたらない席をありがたがる。 この数日間、台湾で休暇を過ごした。街は活気にあふれ、見どころも多く、事も美味しい。とても良い所だと思ったが、一点、どこでも冷房がきついのには閉口した。盛夏は過ぎたとはいえ、日中の気温が34℃にもなるこの時季、むろん冷房なしで客を迎えるなどありえない。 それは分かるのだが、蒸し暑い陽当たりを汗だくになって歩いた後、冷房の効いた建物や乗り物に入ると、汗が急冷されて、体温のフィードバックコントロール系が混乱していくのを実感する。防護のために上着を持っているが、そんな物では追いつかない近代技術の暴力である。一日出歩く

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  • IoT時代のMESをもう一度考え直す 〜 (3) MESの未来像とは | タイム・コンサルタントの日誌から

    最近、ある工場を見学に行った。ここでは仮にX社と呼ぼう。中堅の機械メーカーで、精密な加工技術を要する製品(というか、より大きな機械に組み合わせて使うモジュール的部品)を作っている。顧客の個別仕様要求が多く、生産形態としては受注設計生産に属する。 組立工程の現場のチーフ格の人から、話を聞いた。ここの現場では、一種の「デジタル屋台」というべき方式を採用している。ちょうどラーメンの屋台のように、一人に一台の作業用のラックが与えられ、目の前の端末には組立工程の作業指示が1ステップずつ、3D的図面に表示される。 X社が作っているのは小さな製品で、組立にはネジ止めを多用する。ネジ止め作業では屋台(ラック)に付属する電動ドライバーから、トルクなどの情報を自動的に取って、作業を自動的にチェックし、ミスを防止している。他企業でも見たことがあるが、優れたやり方だ。 ラックのサイドに部品入れの抽斗が並んでいて、

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  • IoT時代のMESをもう一度考え直す 〜 (2) MESの機能と階層を理解する | タイム・コンサルタントの日誌から

    前回の記事(http://brevis.exblog.jp/25991822/)で、IoT技術の発達はMES(Manufacturing Execution System=製造実行システム)にどのような影響を及ぼすかを考えたい、と書いた。MESの概念が提唱されてから、すでに20年がたつ。その間、限られた一部の業界を除くと、MES自体はあまり大きく広まらなかった。そのボトルネックが、製造現場の機器や人との通信インタフェースにあったことも、前回書いたとおりだ。 そもそも、MESとは何か。どのような機能を持つITシステムなのか。これをきちんとおさえないことには、IoT技術のインパクトも論じられない。MESの持つべき機能については、MESA Internationalが早くから「MESの11機能」を定義していた。「MES入門」の中村実氏の解説を元に列挙すると、次のようになる。(なお、日語だけだと

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  • IoT時代のMESをもう一度考え直す 〜 (1) MES普及を妨げたもの | タイム・コンサルタントの日誌から

    2000年に、中村実氏ら何人かと共著で『MES入門―ERP、SCMの世界と生産現場を結ぶ情報システム』を上梓した。わたしが担当したのは第3章「MESを中核とした垂直統合 -プロセス産業のケース-」というセクションだ。製造業、それも製造現場の情報システム化という地味なテーマのだったが、一応、それなりの評価を得た。類書が少なかったせいもあるだろう。いまでも、あのを読みましたよ、という方から声をかけられたりする。 ここで一応、MESとは何かについて、おさらいをしておこう。何年か前に、その名も「MESとは何か」という記事も書いたが、MESとはManufacturing Execution Systemの略で、日語では「製造実行システム」とも訳される。だが、普通は「製造管理システム」とよんだり、あるいは略称のままMES(メス)ということも多い(ただし英語ではエム・イー・エスとスペルアウトして読

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  • 納得する、ということ | タイム・コンサルタントの日誌から

    親戚の娘さんが大学受験の年を迎えた。高校からは、ある女子大に推薦をしてくれると言う。でもその娘さんは推薦入学できる大学に不満を感じた。自分はもう少し上をねらいたい。そこで推薦を断って、あえてもっと上のレベルの大学の受験をチャレンジした。 しかし残念ながら、その年の受験は不意な結果に終わった。彼女は浪人してもう1年間勉強のチャンスをくれるよう、両親を説得した。ずいぶん前の話で、女子が浪人する事に対し、今よりも抵抗があった頃の事だ。 そして予備校に通って、1年後、今度はかなりの数の大学を受験する。でも、結果として彼女は1校を除き、全て落ちてしまった。唯一受かったのは、なんと彼女が1年前に高校の推薦を断った大学だった。結局、その女子大に入学することを決めた。

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  • 物語の力と、その危険性 | タイム・コンサルタントの日誌から

    職人のヨナが目を上げると、見知らぬ旅人が立っていた。旅人の服は奇妙なことに、上から下まで縫い目が一つもない。ヨナがこの道だと答えると、旅人は謝礼を手渡し、消えるように去る。見ると銀貨十枚だった。思いがけぬ臨時収入を得たヨナは、仕事を切り上げ、滅多にいけぬ上等な酒場に行くが、汚れた仕事着のままの彼は、すぐ店を叩き出されてしまう。 ヨナは仕方なく古着屋に入り、仕事着の代わりを探す。すると古着屋が出してきたのは、たった今旅人から買ったという、縫い目のない衣だった。ただならぬ予感を感じながらその衣をまとい、酒場で泥酔したあと道にへたりこむヨナに、真っ暗な闇の中で神の声が幻聴のように聞こえてくる。

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  • 職人の国の生産性を上げる、最良の方法 | タイム・コンサルタントの日誌から

    3月に新潟に行った際、宝山酒造(http://takarayama-sake.co.jp)という会社を訪問した。規模としては零細に近い造り酒屋だ。一応、工場見学、というか、仕込みと醸造の場所を見学させてもらった。平屋の木造で、いかにもゆかしい「酒蔵」である。それから、こうした見学のつねとして、畳敷きの小上がりの部屋に案内され、いくつか試飲させていただく。わたしはお酒に弱いたちで、日酒の目利きなどでは全然ないが、それでもなかなか美味しいと感じた。 試飲させてもらいながら、酒造の来歴の説明をうかがう。どこから杜氏を呼び、どんな努力の結果、満足のいくお酒ができるようになったか。また同じ酒蔵の製品でも、高級な純米大吟醸から普及版の醸造酒まで、どんな特色と違いを出しているか。小さな会社でも企業努力の種類は大手と共通している。たしかに大吟醸の虹色めいた香りの広がりから、醸造酒の新潟らしいきりっとした

    職人の国の生産性を上げる、最良の方法 | タイム・コンサルタントの日誌から