ビックリ! ええっ、こんな話になるの! 本書は7篇からなる連作だが、そのうち6篇は既発表だ。1988年〈小説奇想天外〉誌上ではじまったものの同誌の休刊で中断され、大森望編のオリジナル・アンソロジー・シリーズ《NOVA》で復活。各話ごとに太陽系の各地でおこなわれる土木工事を取りあげて、プロジェクトの危機的局面をいかに乗りきるかを描く。なんとも地味でシブいSFである。 しかし、書き下ろしの完結篇「星を創る者たち」で、すべてがひっくり返る。いや、地味でシブい工学SFという基調はおなじなのだが、いきなり大風呂敷になるし、なによりもプロジェクトの主体/対象の関係がまったく違う。エッシャーの騙し絵ではないが、地と図がくるりと反転してしまう。 ふだんから「ネタばれ上等!」といって憚らないぼくだが、さすがにこのネタを明かすわけにいかない。本書の怒濤のサプライズに較べれば、第二ファウンデーションのありかやた