念のためいっておくが、このごろメディアがいう「シーベルト」の多くは「マイクロ」が単位である。「ミリ」の千分の一である。ここらもまぎらわしい。またガンになる可能性が0・5倍増えるということは、100が150になるということではない。あれは正常で0・1%のものが0・15%になる可能性があるというだけである。もとの絶対数を棚上げにして何倍、何十倍というのは、ときとして詐術にみえる。 はなはだしきは数値がしょっちゅう変わることである。たとえば水道水にふくまれる放射能の基準値は3月17日まではヨウ素10ベクレル、セシウム10ベクレルとされていたのが、一夜明けて翌日からは、ヨウ素300ベクレル、セシウム200ベクレルに設定された。シーベルトのほうだって、融通無碍(むげ)。放射線事業従事者の年間許容限度は、50ミリシーベルトとされていたのが、こんどの事故が深刻化したらいきなり5倍の250ミリシーベルトに