中学校の社会科教科書に関して、歴史と公民の教科書については、検定の内容や各自治体での教科書選定をめ ぐり社会的な注目、議論ともに活発で、学界からの発言も目立つ。それに比べ、同じ社会科教科書でも、地理教 科書と地理の学界はいい意味でも悪い意味でも「平穏」であるといえる。しかしながら、中学校社会科が、本来 は地・歴・公民の三分野の有機的な連携を通して、生徒たちに広く人間社会についての理解を育み、もって社会 に主体的に参加する市民的資質を育成することが本質的な目的である以上、 地理ならびに学界から「歴史」や「公 民」の分野に対してより積極的な提言や貢献がなされることも求められよう。また、2003 年には東京書籍の地 理教科書で多数の誤りが指摘され、再配布する事態となった。教科書の記載内容を常に精査し、訂正や改善の提 言をしていくことも、社会から斯学に求められる役割であることは間違いない。 もっと