高尚な人は嘘をつかず、卑劣な人は嘘をつく。嘘とはすべて悪いもの。だから「おまえは絶対に嘘をついてはいけないよ」と教えるのが日本の教育です。 おかしいと思いませんか? 事実とは異なることを言葉にするのが「嘘」だとしたら、人の世は嘘で満ちています。たとえば、嘘をつくなと教える同じ人が「ほめて育てましょう」と主張します。ほめて育てるのはいいことですが、できていないのに「よくできました」とほめるのは嘘なのです。 人間にとって宗教は大切です。つらい目に遭った人が、宗教に帰依することで生きる勇気をもらったり、明るくなったりするのは珍しいことではありません。でも、私のような無神論者にとっては、神の存在や神秘体験など宗教の構成要素の多くは嘘。宗教に限らず、人間の精神活動の半分どころか、大半は嘘だといっていいでしょう。 つまり「嘘をつく」ことイコール「悪いこと」ではないのです。嘘とは単に「事実とは異なること