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ブックマーク / honz.jp (364)

  • 『美の世界旅行』 - HONZ

    太郎の文章は、読んでいるとまるで彼自身の絵画作品を見ているような気分にさせられる。岡太郎は、絵の具をたっぷり含ませた絵筆を、カンバスの表面に勢い良く滑り踊らせるように文字を書く人だ。目で見たもの、耳で聞いた音、手で触れたり感じたりしたものが色を帯びて、文字の並ぶ紙の上でへこんだり膨らんだり歪んだり様々な形をなしている。そして、そんな文章に導かれる読者の目の前で、太郎は正面に立ちはだかる壁を倒し、柵を乗り越え、道を逸れてどんどん前へと歩みを進めて行く。彼の眼差しを操作する意志と興味は豪快でありながらも注意深い。大都市であろうと古の都であろうと未開地であろうと、視界に止まるものを余さず自らの感性の糧として吸収してしまう、強力なスポンジのような意識を持った太郎の、世界を巡る足取りに惑いや躊躇など一切無い。 勿論、岡太郎の印象的な人となりや、その作品の先入観を拭えないにしても、この人の文に

    『美の世界旅行』 - HONZ
  • 『さかなクンの一魚一会』 さかなクンの夢中になる力 - HONZ

    ハコフグ帽子と白衣のいでたちに、甲高い声と大きなジェスチャーで魚の素晴らしさを伝え続けるさかなクンの自叙伝だ。絶滅したと思われていたクニマス発見の偉業は天皇陛下にも言及され、東京海洋大学の客員准教授を務めるまでになったさかなクンの人生が、さかなクンの手によるかわいい魚のイラストとともに語られる。文の漢字にはルビがついており、小さな子供でも楽しみながら読み通すことができる。もちろん、大人も飽きさせない。書には、当に何かを好きになることの苦しさ、そして、それ以上の楽しさが凝縮されているのだ。 どんな困難を前にしても、さかなクンは夢中であることをやめない。魚との毎日をとことん楽しむさかなクンの生き方に触れると、この世界が喜びに満ちたものに思えてくる。何かを好きだった熱い気持ち、最後まで全力を尽くせずに投げ出したもの、さかなクンのように生きられなかった自分が省みられて、心が揺さぶられる。ペー

    『さかなクンの一魚一会』 さかなクンの夢中になる力 - HONZ
  • 『「ユマニチュード」という革命』 笑うたら、やっぱり嬉しかとばい - HONZ

    このには当に驚かされた。介護の技法書だと思って読み始めたら、これからの時代を生き抜く哲学のだったのである。ユマニチュードとは、認知症高齢者ら介護される側の人間性を取り戻すケア技法であり、それを支える哲学のことである。書のオビには「ケアを受ける人に愛情が伝わるから、ケアをする人も愛と誇りを受け取れる」とある。だから、テクニカル一点張りではないことは、読む前にもわかった。でも面構えは、あくまで介護の技法書だったのだ。 しかし読後私は、読む前に想像した場所とはまったく違う場所にいた。書は、現代の不気味な通奏低音となっている「人間疎外」の処方箋になるになるかもしれない、と思わず心が昂ぶったのである。私は、勤務先で介護制度を活用している身だが、私の他にも身の回りに介護と奮闘中の人を知っている。高齢化社会が進展する中、意識的に目を伏せようとしない限り、多くの人がこれに近い環境に置かれているこ

    『「ユマニチュード」という革命』 笑うたら、やっぱり嬉しかとばい - HONZ
  • 『脳が壊れた』ルポライター41歳、脳梗塞になりました! - HONZ

    健康診断を怠っている。フリーランスになってからというもの、よっぽど具合が悪くなければ医者に行くということもない。しかし、自分の健康を過信しているわけでもない。物忘れがひどければ「若年性の認知症?」と怯えるし、動悸が激しければ「心筋梗塞?」と脈を計る。手足が痺れると「脳梗塞」を疑い、しばらく様子を見たりする。 一般的には60歳以上に多いという脳梗塞。しかし鈴木大介は41歳で発病した。 ノンフィクション好きなら、この鈴木大介という名前に見覚えがあるかもしれない。貧困家庭の子どもや虐待などから家出した少年少女、そのセックスワークや集団詐欺など一般社会から早い年齢で零れ落ちた人々を丁寧に取材しているルポライターである。過去、私も何冊か読んで書評をしたこともある気骨あるルポライターだ。 社会が注目している分野であり、仕事の依頼も多く多忙を極めていた2015年の初夏、地元の消防団の消火訓練中、左手指

    『脳が壊れた』ルポライター41歳、脳梗塞になりました! - HONZ
  • 受験戦線、異常あり! 『ボカロで覚える 中学歴史/理科』 - HONZ

    これが今世間を席巻している『ボカロで覚えるシリーズ』。なんとボーカロイド曲を使って歴史や理科を覚えちゃおうという大胆な企画です。発売以降好調に推移、重版を重ねてきたところ6月末からメディア露出が相次ぎ大ブレイク!勢いはしばらく止まりそうにもありません。 どちらかというと歴史の方が人気ですが、それでも購入者の半数は両方を購入しています。たぶん、他教科も発売されれば高い率で購入されるのでしょう 中学生向け学習参考書なので、ターゲットは明確ですが念のため読者クラスタを見てみましょう。

    受験戦線、異常あり! 『ボカロで覚える 中学歴史/理科』 - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2016/07/24
    人気ブランドのCECIL McBEEをコラボし、ファッション誌を読む感覚で勉強するというおしゃれで可愛い学習参考書。
  • 『「こつ」と「スランプ」の研究』「体感」に「ことば」を、「ことば」に「体感」を - HONZ

    何やらそそられるタイトルだ。とらえどころのない「こつ」と「スランプ」の正体に、いかにして迫っていくのか。そもそも、それらは研究できるものなのか。期待と不安が入り混じるまま読み進めた先に待っていたのは、思わぬアプローチと意外な着地点だった。 実は、「こつ」や「スランプ」についての話は書の一面に過ぎない。研究対象とされているのはより広い領域、「身体知」である。 身体知とは、シンプルにいえば「からだに根ざした知」だと著者は言う。自転車の漕ぎ方やゴルフのドライバーなどが分かりやすい例だ。いわゆる「暗黙知」との違いは明確に書かれていないが、読んだ限りでは、「からだで理解する」というニュアンスをより強調した言い方が「身体知」だと思われる。 「からだに憶え込ませる」という言い回しがあるように、身体知は反復練習の中で徐々に感覚を掴むことで身につくもので、一見「ことば」は邪魔なように思える。自分の経験に照

    『「こつ」と「スランプ」の研究』「体感」に「ことば」を、「ことば」に「体感」を - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2016/07/03
    しかし本書で一貫して繰り出されるのは、「身体知を学ぶためにはことばが重要な役割を果たす」という主張である。
  • 『直感力を高める 数学脳のつくりかた』 - HONZ

    数学や科学に強くなるには、どのように取り組めばいいのだろうか。 巷にはいろいろな方法を謳った一般書が出回っているが、これといった効果を実感できなかったので、このを手に取ってくれた人もいるかもしれない。そういう人の他にも、短期間で数学や科学をものにしたい人、問題解決のコツと学習法の要点などを知りたい人の要望に応えるのが書である。原書A Mind for Numbers: How to Excel at Math and Science (Even If You Flunked Algebra)(数字に強くなる考え方――数学と科学に抜きん出る法[たとえ代数で落第点を取ったとしても])はアメリカで飛ぶように売れ、2016年2月にAmazon.comの学習書部門の第3位に躍り出た。 数学や科学の勉強の仕方を取り上げたからには著者バーバラ・オークリーは理系の学者だろうと思いきや、ロシア語がペラペ

    『直感力を高める 数学脳のつくりかた』 - HONZ
  • やりたいからやる『これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得』 - HONZ

    書は16人の在野研究者の生き様を紹介するというシンプルな構成だ。謎の同人ウェブメディア「En-Soph(エン–ソフ)」での連載シリーズ「在野研究のススメ」を、再構成しまとめたもので、すべての章は読み切りだ。 論文の数や掲載誌のインパクトを追求する一般的な研究者とは異なり、我が道、我が学問を行く在野研究者たち。制度や固定観念に囚われることのない、彼らの研究内容は独特で、鋭さと危うさを兼ね備えた魅力を持つ。しかし、研究内容にもまして、興味深いのは、その生活事情や金銭面の工面である。そこはしなやかで、したたかに、自分のやりたいことを、やり続けるための作戦がある。 生活のできる限りを研究に捧げるために、利用できるリソースを徹底的に活用するストイックな姿勢を崩さないのは、研究のために「どれくらい働いたらいいか?」という問いを立てた三浦つとむである。一方で、親の仕送りに寄生し、弟に呆れられるまで海外

    やりたいからやる『これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得』 - HONZ
  • 欲しかった言葉ときっと出会える『翻訳できない 世界のことば』 - HONZ

    心に湧いてくる感情にぴったり合う言葉が見つけられない…。 言葉で表現しようとすると、ひどくまどろっこしくなってしまう…。 誰しもそんな経験を一度はしたことがあるのではないだろうか。 私たちは言葉があることで、思考することができ、他者と”目に見えないもの”を共有することができる。一方で、言葉によって私たちの思考は規定され、その範疇をはみだす部分については、表現することをあきらめざるをえない場合もある。 だが、そんな「日語では表現できなかったもの」を的確に表す言葉や、意識すらしたことがなかった世界を示す言葉に、外国語を学ぶなかで出会うことも少なくない。 書は、世界の様々な国に暮らした経験をもつ筆者が、「他の国のことばではそのニュアンスをうまく表現できない『翻訳できないことば』たち」を世界中から集めてまとめた一冊だ。 *** その「単位」ありなんだ・・・ 長さの単位にはメートルの他にマイルや

    欲しかった言葉ときっと出会える『翻訳できない 世界のことば』 - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2016/05/23
    ドイツ語の「Drachenfutter(ドラッヘンフッター)は直訳すると「龍のえさ」だが、転じて「夫が、悪いふるまいを妻に許してもらうために贈るプレゼント」を意味する。
  • 将来のためじゃない、面白いから好きになる『算数好きな子に育つたのしいお話365』 - HONZ

    問題です。縦3ブロック、横4ブロックの板チョコがあります。このチョコレートを何回割れば12個の小さいブロックに分けることが出来るでしょうか。ただし、重ねて割ってはいけません。 ゲームです。 ① 1から9の数の中から1つの数を選んでください。 ② 選んだ数を2倍にしてください。 ③ その2倍した数に6を足してください。 ④ ③で出た数を2で割ってください。 ⑤ ④で出た数から、①で選んだ数を引いてください。 ⑥ いくつになりましたか? 画用紙に円をかいて切り取り、真ん中に小さな穴をあけます。そこにえんぴつを入れて、箱に沿って転がしてみます。箱の外側に描く線と、内側に描く線はどのようなものになるでしょうか。 問題です。1枚の紙を何回折ると月に届くでしょう。月までの距離は約38万km、使う紙の厚さは約0.08mmです。 ゲームです。 123456789 =100 このうち、1~9までの数字を区切

    将来のためじゃない、面白いから好きになる『算数好きな子に育つたのしいお話365』 - HONZ
  • 『発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ』 欠如ではなく、ずれ - HONZ

    書で取り上げられる発達障害は、教育現場でその問題が指摘される自閉症スペクトラム障害やディスレクシアなどから、遺伝子疾患によるウィリアムズ症候群まで幅広い。発達障害そのものではなく、「乳幼児の心と脳の発達」を研究の重心としてきた心理学者である著者は、従来は社会性の障害であるといわれていた発達障害に、視覚情報処理とその発達という科学的知見から新しい光をあて、これらの障害が何に起因するどのようなものであるかを丁寧に教えてくれる。 この世に生まれ落ちたばかりの赤ちゃんがどのように視覚を獲得し、脳を発達させ、世界を理解していくのかを知ることは、発達障害を抱える人々が見ている、感じている世界がどのようなものなのかを解明する助けとなる。さらに、そのようにして他者の視点を想像することは、わたしたち自身が世界をとらえる方法、社会と対峙する方法をより豊かにする。 自閉症のポイントは、何らかの欠如ではなく視点

    『発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ』 欠如ではなく、ずれ - HONZ
  • 『1998年の宇多田ヒカル』音楽には今、言葉が足りない - HONZ

    タイトルが秀逸。「1998年の宇多田ヒカル」という単語を目にしただけで、様々な情景が昨日のことのように蘇ってくる。だが皮肉なことに、それは音楽に心を躍らせるという経験が、その時から更新されていないことを意味するのかもしれない。 1998年が、いかにエポックな年であったかを示す事実はいくつもある。1つは日音楽業界史上最高のCD売上を記録した年であるということ。そしてもう1つは、現在においても日音楽シーンにおけるトップ3の才能と目される音楽家が、すべて同じ1998年にデビューしたことである。それが、宇多田ヒカル、椎名林檎、aikoの3人だ。 書は「史上最も同期に恵まれていた」3人に浜崎あゆみを加えた女性ソロアーティスト達を題材とし、1998年からの18年間が音楽史においてどういう意味を持つのか紐解いていく。単に当時をノスタルジックに振り返るだけでなく、そして現在の状況を憂うだけでもな

    『1998年の宇多田ヒカル』音楽には今、言葉が足りない - HONZ
  • 『モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』“でっちあげ”ふたたび - HONZ

    『でっちあげ』というノンフィクションを知っているだろうか。詳しくは私のレビューをお読みいただきたいが「モンスターペアレント」という言葉ができたのはこの事件からだった。学校に対して理不尽な無理難題を突き付け、わが子可愛さに教師ばかりか教育委員会、果ては市や県にまでクレームをつけ、裁判にまで持ち込む。それが正当なものならわかるが、嘘八百を並べ立てていた事件である。 長野県の丸子実業で起こった「いじめ殺人事件」も、このモンスターペアレントが起こした事件であった。 2005年12月、軽井沢に隣接している長野県御代田町で丸子実業高校(当時)に通う高校1年生の男子が自殺した。母親は所属していたバレーボール部内部でいじめがあったことを苦にしていたと証言し、気持ちを書きとめていたノートには「いじめをなくしてほしい」という記述もあった。事実、夏から不登校が続いていた。少年には声が出にくいという障害があり、そ

    『モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』“でっちあげ”ふたたび - HONZ
  • 『でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相』驚愕の結末 - HONZ

    2003年、全国で初めて「教師によるいじめ」と認定される体罰事件が福岡で起きた。ひとりの教師が担任の児童を執拗に苛め続けて、「早く死ね、自分で死ね」自殺を強要し、その子供はPTSDによる長期入院に追い込まれてしまった……。 この報道がなされると、雑誌やテレビでは鬼か悪魔かというくらいの勢いで「殺人教師」について大きく特集を割いた。両親、特に母親からの訴えは、息子を守ろうとする必死さに溢れ、学校、教育委員会とも非を認め教師に謝罪させている。 でもそれは、クレーマーな親による「でっちあげ」であったのだ。冤罪であると同時に凄まじい濡れ衣だった。そもそも結局誰も死んでないのに「殺人教師」と名付けることがすごい。モンスターペアレントという言葉がまだない頃の事件である。 事件のあらましはこうだ。被害を受けたとされる4年生の児童、浅川裕二(仮名)の母親、浅川和子(仮名)は、この川上譲教諭(仮名)が、20

    『でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相』驚愕の結末 - HONZ
  • 『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』私たちの生命には、老化と寿命の驚くべき秘密が隠されている - HONZ

    『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』私たちの生命には、老化と寿命の驚くべき秘密が隠されている パラドックスだらけの生命 「なぜ私たちは老いて死ぬのか?」――書はこの問いかけに進化論によって答える。そこから見えてくるのは、私たちの生―老い―死(寿命)が、矛盾、パラドックス、トレードオフに満ちあふれているという実態だ。 もともと老化や死は有性生殖に伴って登場し、多細胞生物において広まった。では、単細胞生物から複雑な多細胞生物へと進化したメリットは何なのか? 多細胞生物のメリットのひとつは、損傷や感染して細胞にガタがきても新たな細胞で作り直せることだ。ただし、デメリットもある。細胞分裂の際のエラーが蓄積すると、ガンにかかってしまう。そして、ここに矛盾がひそんでいる。 より体が大きく(細胞が多く)、より寿命が長い生物ほど、ガンにかかるリスクは高くなるはずだ。しかし、そうではない。より

    『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』私たちの生命には、老化と寿命の驚くべき秘密が隠されている - HONZ
  • 読み終えたが最後、徹夜はできなくなるだろう──『眠っているとき、脳では凄いことが起きている』 - HONZ

    多くの人間は一日に6〜8時間ほどの睡眠をとる。そうなると、ごくごく単純に計算して人生の4分の1から3分の1を睡眠に費やしていることになる。それなのに睡眠のことはあまり意識されない。あって当たり前、時にはちょっとぐらいすっとばしても構わないものだと思われている。 しかし、かつて安眠が今ほど保証されていない時代のことを考えれば、6〜8時間も睡眠をとるのはとてつもなく危険だったはずだ。その上、睡眠は人間だけではなく、動物界に広く行き渡った機能である。多くの動物がわざわざ多大な危険をおかしてまで行っているのだから、当然そこには「睡眠が生命を維持するに必要不可欠な理由」があるに違いない。そうでなかったらこれほど深刻なバグはなかなかないだろう。その理由とはいったいなんなのだろうか? 書『眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密』はその書名通り、眠っている時に脳で起こっている

    読み終えたが最後、徹夜はできなくなるだろう──『眠っているとき、脳では凄いことが起きている』 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    怖い…でも見たい!怪異と戦う弱小少年!『ミヤコ怪談』第8話後編 2018年09月21日 気弱な少年と不良少女のジュブナイルホラー。 虐められっこの草弥は、クラスメイトに脅されて、「タタリ場」への調査に向かうのだが、出会ったのは、世にも恐ろしい妖怪の数々だった…「ミヤコ怪談」はメディ...

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  • 『〈お受験〉の歴史学 選択される私立小学校 選抜される親と子』 私立小学校を知れば日本の教育が見えてくる - HONZ

    町内に信号機が1つもない地方で生まれ育ったわたしは、お受験(小学校受験)には縁がなかった。学力・経済面の問題以前に、近隣に私立小学校が存在しなかったのだ。母校の小学校も廃校になるほどの過疎地域だからかと思っていたのだが、著者も大学に入るまで私立小学校出身者に会ったことがなかったという。私立小学校が身近な存在ではない、というのはそれほど珍しい体験ではないようだ。それもそのはず、私立小学校は学校数・児童数ともに全小学校の約1%を占めるに過ぎず、その少ない数も関東・近畿に集中している。秋田、香川や熊などのように私立小学校が1校も存在しない県は11にもなるのだ。 このように稀な存在である私立小学校に着目する意味を、著者は以下のように述べる。 日教育や社会の問題を考えるうえで、私立小学校こそ「教育のフロントランナー(先駆者)」あるいは、「現代日社会を象徴する鏡」であり、ややお大げさに言えば、

    『〈お受験〉の歴史学 選択される私立小学校 選抜される親と子』 私立小学校を知れば日本の教育が見えてくる - HONZ
  • 『地球の履歴書』本物の知がここにある - HONZ

    著者の大河内直彦さんは海洋研究開発機構・生物地球化学部門のリーダーであり、この分野では日を代表する科学者の一人だ。そのかたわら気候変動や地球科学に関するポピュラーサイエンス、すなわち科学読み物の作家としても出版界では注目が集まっていた。気候変動の謎に迫った『チェンジング・ブルー』が硬派な大部であるにもかかわらず、非常に評価が高かったからだ。 現役の科学者の分はもちろん研究そのものであろう。科学読み物などを書いても「科学業界的」に評価されることは少ないはずだ。現役の経営者がテレビのバラエティ番組に出演しただけで、虚業と非難されることと似ているかもしれない。しかし、それでもなお、著者は現代社会を形作ってきた原動力の風景、すなわち科学の現状と背景をおさらいしてみたいと思い、書の執筆にとりかかったという。 熱心な大河内直彦ファンとしては、じつに複雑な心持ちだ。なによりも業の研究をしてもらい

    『地球の履歴書』本物の知がここにある - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2015/10/16
    著者の大河内直彦さんは海洋研究開発機構・生物地球化学部門のリーダーであり、この分野では日本を代表する科学者の一人だ。|気候変動の謎に迫った『チェンジング・ブルー』が非常に評価が高かった
  • 凄みある現場の声 『「子供を殺してください」という親たち』 - HONZ

    書は、精神を病んだ人を説得し医療につなげる「精神障害者移送サービス」に従事する著者がまとめただ。生命の危険を伴う仕事であろうことは想像に難くないが、全体の半分以上をしめる第1章「ドキュメント」では、想像をはるかに上回る壮絶な事例が多数紹介されている。その文章は、第三者によって安全な所から書かれたものとは違い、対象者の回復を願い行動を共にしている著者の目線で書かれたものだ。だから、読者は冒頭からグングン引き込まれていく。後述するが、私にとってこの第1章は、親として得たものが非常に多かった。 第2章以降は、精神保健分野の問題点について、法制度の面もふまえ解説し、提言している。これを読むと我が身の危険を感じ、背筋が寒くなる。危険をかかえた人が、長期入院を減らす国の施策によって退院を促され、市中に増える傾向にあるという。他人事ではない。すぐ身近に危険は迫っているのだ。私が書を初めて読んだ8月

    凄みある現場の声 『「子供を殺してください」という親たち』 - HONZ