東日本大震災の発生直後、首都圏のすべての鉄道が運転を見合わせ、多くの帰宅困難者が出た。運転再開のタイミングは各社でまちまちで、主要駅や幹線道路に人があふれた。判断はどこで分かれたのか。震災から1カ月以上たち、ようやく国土交通省が調査に乗り出した。 ■分かれ目は官房長官会見 自宅をめざす人が都心の主要駅に集中した3月11日夕。鉄道各社と国交省は運転を再開できるタイミングをうかがっていた。「再開すれば都内にとどまっている人を外に送り流せる」。国交省鉄道局は当初、そう踏んでいた。 首都圏で脱線や死傷者が出る事故はなかった。国交省と鉄道会社のマニュアルでは、線路や設備に損傷がないか点検をした後、2〜5回の試運転を経て再開することになっていた。 だが、午後5時半過ぎ、枝野幸男官房長官が記者会見で「帰宅ではなく、職場など安全な場所で待機していただきたい」と呼びかけた。 これを機に鉄道各社の判断