顔は社会と人間をつなぐ“通路” ――今後、「自分の顔」と社会との関係はどのように変化していくでしょうか。 社会が複雑化し、化粧や、写真加工の技術が高度化してくると、他人と自己像との関係がより複雑になっていきます。また、インターネットの世界では、アバターの存在も大きくなってきています。そうなれば、写真や動画における顔加工が流行しているいま以上に、顔は仮面のように、いかようにも取り換え可能な時代になってきているのかもしれません。 素顔であれ、仮面であれ、外面はつねに自己の内面と深い関わりを持っています。しかも、その自己の内面は、外面の影響を受けて容易に変化する可塑かそ的で不安定なものなのです。そして、いずれの外面も、他人の反応から自己の顔を想像するという点で、自己と他人の関係性からつくられる想像的な共有物なのです。 ただ、想像的なものだといっても、それがないと私たちの自己は不安定になり、他人と