東京五輪・パラリンピックをめぐり、大会組織委員会の元理事に対する贈賄罪で逮捕・起訴された出版大手「KADOKAWA」の角川歴彦(つぐひこ)元会長が、「人質司法は憲法違反」とする国家賠償請求訴訟を起こしました。冤罪(えんざい)の温床ともされてきた人質司法の問題をどう考えるべきか。角川人質司法違憲訴訟とともに大阪のプレサンスコーポレーション元社長冤罪事件の弁護団の一人で、元裁判官の西愛礼(よしゆき)弁護士に話を聞きました。 ◇ ――そもそも「人質司法」とは何なのでしょうか。 「無実を主張したり、黙秘権を行使したりすればするほど、身体拘束が長引く日本の刑事司法実務の運用のことをいいます。身体拘束を受ける人にとって、身体を人質に取られて自白を強要されているような状況になることから『人質司法』といわれています」 無罪主張する人ほど長期拘束 ――「人質司法」の具体的な弊害を教えてください。 「まず、身