日本企業を呪縛する長期的関係 このような日本の新陳代謝とグローバル化の遅れの背景には、日本企業の組織特性がある。日本の製造業が戦後、高度成長したときは、欧米の技術をまねて、低賃金で生産することができた。このときは急速に変化する市場や技術に対応して、柔軟に対応する組織が有利だった。労働者は一生ひとつの会社にいるので、いろいろな部署を転々として「何でも屋」になる。大企業は得意先からシステムを受注して下請けに丸投げする「ITゼネコン」になり、ソフト開発は下請けが行なう。 こうした構造を支えているのは、企業組織や系列の中で維持される長期的関係である。これは典型的な資本主義の想定している物的資本による企業統治ではなく、人的資本を「暗黙の契約」で長期的に拘束するシステムだ。これはローカルな共同体で成り立つ伝統的な社会では広く見られるが、都市化して人の移動が多くなると長期的関係を維持することがむずかしく
![日本のITはなぜ終わったのか (2/2)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/d352a565eada27f8bf89ef7e07f99d08acde1f55/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fascii.jp%2Fimg%2F2008%2F02%2F08%2F1527064%2Fl%2Fc162caa3f950720e.jpg%3F20200122)