ネットサービスを得意とする中国IT大手のアリババ集団や京東集団が、ここにきてリアルの小売業界に相次ぎ参入。新機軸の店舗で一大旋風を巻き起こしている。短期間で消費者のハートをつかんだ背景には、徹底したデータ活用戦略があった。 北京や上海をはじめとする中国の大都市近郊で、ここ1年ほどの間に店舗数を急速に拡大させた食料品店がある。真っ青な看板が特徴の食品スーパー「盒馬鮮生」(フーマー・フレッシュ)。手がけているのは中国の電子商取引(EC)最大手のアリババ集団だ。 リアルの小売りとは無縁だったアリババの異業種参入に中国都市部の市民が喝采を浴びせる背景には、ITを駆使してサプライチェーンを磨き上げ、データ分析に基づき市民のニーズに応えるアリババの「新小売」戦略がある。 盒馬鮮生の入り口から店内に進むと、まず肉や野菜などの売り場が見えてくる。特徴的なのは冷蔵ショーケースと商品のパッケージに大きく掲げら