大場千景 著 500年もの間、文字を使わずに語り継がれた歴史。 文字を持たない民族ボラナはどうやって歴史を記憶し、伝えているのか。 物語り、詩、時間、構造とは――。 7年間におよぶエチオピアフィールドワークの集大成 現役の語り手からの聞き取りテクスト(日本語訳)も豊富に掲載 私は、エチオピア南部のサバンナに暮らすボラナとよばれる人々の歴史を研究している。……ほとんどの人々は文字が読めない。もちろん二〇世紀以前の彼らの過去に関する文書記録もない。 ……あるとき、私はボラナの人々のあいだで出まわっているカセットテープを手にした。そのテープにはボラナにかつて存在した予言者に関する語りが録音されていた。……それからすぐ、予言者の伝承に関する聞き取りをはじめたのだが、予言者伝承の向こうにはさらに、一五世紀にはじまる膨大な歴史語りの世界が広がっていたのである……… (「はじめに」より) ISBN・分類