誰も記さない日本人の姿を、たった一人で記録し続けること。『月刊ドライブイン』ができるまで|橋本倫史(ライター) 「ドライブイン」という言葉を聞いて、その業態をイメージできる人はいまどれだけ残っているだろうか。主に地方・郊外の街道沿いに存在し、その名の通り駐車場完備なのでトラック運転手や地元ドライバーの食事処、休憩所として機能してきた場所だ。 このドライブインだけをテーマに、北海道から沖縄まで全国200軒以上を訪れ、毎回2つの取材記が収録されたミニコミ『月刊ドライブイン』全12巻を刊行したのがライターの橋本倫史氏である。今年1月にはその全内容を収録し、加筆・再編集を施した『ドライブイン探訪』(筑摩書房)として単行本が発売された。 この本は、単にドライブインの名前やメニューの一覧などが図鑑的に載っているのではなく、同氏が取材を希望するドライブインに三度足を運び、実際に食事をして店主と親しくなり