明治初期の廃仏毀釈から「仏像ブーム」の現代まで、人々はさまざまな思いで仏像と向き合ってきた。各時代の“知識人”を通して、日本人の感性の変化をたどり、劇的に変わった日本の宗… 仏像と日本人 [著]碧海寿広 このところ仏像ブームが続いている。われわれは何を求めて仏像を見に行くのだろう。 本書は、近現代において日本人が仏像とどのように向き合ってきたか、その変化を追う。面白いのは、見る側の視線が世情とともに揺れ動くことだ。 明治のはじめ、仏像が大きな危機を迎えたのはよく知られている。仏教排斥運動によって、多くの寺や仏像が破壊されたのである。そのとき、それを救ったのが文化財という思想だった。万国博覧会への出展や、博物館での展示、さらには寺院自身が宝物館を建て、文化的価値の高いモノは国宝や文化財に指定されていった。つまり宗教性を薄めた結果、難を逃れることができたのである。有名なフェノロサと岡倉天心によ
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