日中戦争に従軍した体験を基にした小説「麦と兵隊」などで知られる作家の火野葦平が、終戦から3か月後にアメリカの調査団から聞き取りを受け、軍に批判的な証言をしていたことが分かりました。 専門家は、軍の立場に近かったとされる火野の当時の心情をうかがう貴重な資料だとしています。 火野葦平に対する調査の記録は、山口県下関市の高校教諭が6年前に見つけ、昭和20年11月に福岡市で行われた聞き取りの結果が、日本語で6枚、英訳で5枚にまとめられています。 この中で火野は、太平洋戦争中の昭和19年以降、当時の日本軍の兵士が日本の本土で民間人の財産を強奪したり女性に乱暴したりするなど規律が乱れていたと証言しています。 そのうえで、「軍人の腐敗を見て戦争には勝てないと思った。もし勝つにしてもこのままでは勝ってもらいたくなかった」と軍を批判することばを述べています。 火野は、日中戦争に従軍した体験を基にした小説「麦