映画になりそうな犯罪ノンフィクションはいかが? 主人公は一癖もふた癖もある本泥棒とガッツのある図書館司書たち。あの手この手の知恵をしぼる泥棒組織と、それに対して、「図書館特別捜査員」として奮闘する司書。「稀覯本」をめぐる攻防の舞台はニューヨーク! アメリカ経済が上り調子となった1920年代、1929年の大恐慌を経てしばらくの間1930年代まで、図書館史上最悪の盗難の時代は続いた。当時のアメリカでは、一部の古書の値段が天井知らずで高騰し、のんびりした各地の図書館は「一年を通して、どんな天候だろうが、すぐ換金できる作物の成る畑」とまで言われるほど、本泥棒に恰好の餌食を提供していたのだ。 その背景には、経済状況はもちろんだが、今と違って、古書、特に「稀覯本」(限定本や特集事情のある本など、手に入りにくい本のこと)の購買層が、一部の読書家に限らず非常に広かったため、売買の規模が大きくなり、マンハッ