隣りの市の新聞販売店のおじさんが、山羊と兎を飼いだしたのは昨年の秋だったと思う。私は特に「ちゃんと飼ってるかなんて咎めだての視線で見ていたわけでは決してないが、ある雨の日に、山羊が雨に濡れながら、置いてあるビール箱の上に片足で立っているのに気付いた。いかにも不自然で、つい車を止めてそこに行ってみた。 すると、小屋はいいかげんな作りで雨がざぁざぁと漏っており、地面が水たまり状態なのである。「これはひどい」とあたりを見回したら、道路沿いの兎たちはもっとひどいことになっているではないか。小さな小屋にぎゅうぎゅうにつめられ、底は糞がびっしりで、しかも雨が中に振り込み糞はどろどろ。兎たちは細い板の上に、みんなが小鳥が並んで止まっているようにして蹲っている。 この日の夜、福島に給餌に行く日で、私はそのための買い物にホームセンターに行きそのあと少し眠っておきたいと思っていたのだが、山羊と兎をこのままにし