全国各地で、日本人が先を争うようにして映画館に駆けつけた昭和20年代。昭和27年(1952年)に開館した、秋田・大館(おおだて)市にある映画館・御成座(おなりざ)もそんな劇場のひとつでした。 それから約50年。2005年には映画館としての役割を終え閉館し、それからさらに9年後、長らく廃墟のようになっていたこの劇場に目をつけたのは、千葉から大館に働きに来ていた切替義典(きりかえよしのり)さんです。 といっても、その建物がかつての映画館だったと気づかず、大人数で住めそうな大きめの物件だと思い内見したところ、中に真っ白なスクリーンと客席が現れて驚いたと言います。 その後、映画館だった建物の力に導かれるようにして、切替さんは、2014年7月に御成座を再オープン。映画館として営業を続ける現在も、この場所は切替さん一家の住まいでもあります。 昭和の雰囲気が色濃くのこる映画館にして、千葉から移り住んだ一