バイオテクノロジー(生命工学)を応用し、薬を効率よく細胞に運ぶための「糖鎖」を大量生産する技術の開発に、丸亀市の薬品製造「伏見製薬所」が香川大、九州大と共同で挑んでいる。特定の酵素をはさみのように使い、均一な構造の糖鎖を自在に作り出すのが目標だ。実現すれば副作用がなく効き目の高いバイオ医薬品の開発につながるという。(竹上史朗) 糖鎖は、各種の糖が連結した化合物。細胞の表面にもたくさんあり、形の違いによって別の物質と結びつく鍵の役割を果たす。ウイルス感染も、特定の糖鎖が鍵になって、ウイルスが細胞内に侵入することで起きる。 一方で、目標とする細胞に合った形の糖鎖を薬に備えれば、細胞内に効率よく送り届けることができるため、医薬品への応用が進んでいる。 ただ、糖鎖を含むバイオ医薬品は、これまでハムスターの卵巣細胞内で培養されてきた。ヒトの糖鎖とは微妙に構造が異なり、形にばらつきも出るため、副作用を