2009年のノーベル賞が発表され、自然科学3分野では女性3人を含む9人の受賞が決まった。医学・生理学賞と化学賞は生命現象の根源にかかわる研究が選ばれたが、創薬や新しい治療への応用も期待される。光ファイバーなど光を扱う技術が受賞対象になった物理学賞は、実用化への貢献が重視され、近年の選考傾向が浮き彫りになった。物理学賞と化学賞の対象となった分野は、日本人研究者の貢献も大きい。 医学・生理学賞 ■染色体を保護、テロメア機構明かす 1本の毛糸を編み込んでマフラーを作ったとき、毛糸の両端をきちんと処理しなければ、簡単に解けてしまう。DNA(デオキシリボ核酸)という長い分子を折りたたんだような構造を持つ染色体も、「テロメア」と呼ばれる末端部は特別な仕組みを備えている。その構造と機能を解明し、テロメアを維持する酵素を1980年代に発見したのが、医学・生理学賞を受ける米国の3氏だ。自然科学分野で女性2人