○○病だから△△検査か……,とオーダーしたあなた。その検査が最適だという自信はありますか? 同じ疾患でも,個々の症例や病態に応じ行うべき検査は異なります。適切な診断・治療のための適切な検査選択。本連載では,今日から役立つ実践的な検査使い分けの知識をお届けします。 (前回からつづく) 腫瘍マーカーは,癌細胞もしくは非癌細胞が癌細胞に反応して生成される物質のなかで,腫瘍の存在や癌細胞の種類とその量を反映する指標となる物質を指します。理想的には癌細胞のみから生成される物質が最適ですが,残念ながらそのような物質は今日まで発見されておらず,正常細胞や良性疾患でも作られている物質ばかりです。マーカーには,ある程度癌種特異的なものと幅広く種々の癌で陽性となるものがあります。今回は,比較的特異性の高いAFP(α-fetoprotein)とPIVKA(protein induced by vitamin K