「ジョブ型雇用」が国内の大企業を中心に広まっている。年功序列型賃金といったこれまでの雇用慣行を見直そうとするものだ。ジョブ型雇用という言葉の生みの親とされる労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎所長に、企業側のねらいや労働者への影響などについて聞いた。 ――多くの企業がジョブ型雇用に注目しています。 「いま導入されようとしているのは『ジョブ型っぽいもの』だ。海外で一般的な本来のジョブ型は、まずジョブ(職務)があり、そこに遂行できるスキル(技能)をもったヒトをはめ込む。賃金はジョブに基づいて決める。例えるなら、あらかじめ椅子に値札が貼ってあって、そこにヒトが採用されて座る。採用は基本的に椅子が空く時の欠員募集で、椅子そのものがなくなればやめてもらうことになる」 「これに対し、日本特有のメンバーシップ型雇用は、採用時にジョブが特定されていない。会員・成員(メンバーシップ)は何にでもなれるiPS細胞