最近、流通科学大学の田村正紀教授が興味深い実証結果を発表した。 田村氏の実証結果によれば、日本の小売企業の場合、規模拡大の効果はあまり発揮 されていないという。一般的に小売企業の場合、店舗数を増やせば増やすほど 単品大量販売が可能になり、それを本部集中仕入れと連動させることで低価格販売を 実現し、多くの買い物客を吸引し、売場の生産性を引き上げることができると 信じられてきた。 しかし、田村氏によれば、日本の場合、規模の優位性が規模成長の比較的早い段階で 消滅してしまうという。この事実は衝撃的である。つまり、その実証結果を信じるなら、 例えばある小売企業がある程度の数、出店してしまえばその後、いくら出店を重ねても そのこと自体が企業全体の競争力を高めることにはならないということになってしまう からである。 この事実は現在、一部の大手小売企業が取っている成長戦略に疑問を投