横浜市が2004年に民営化した四つの市立保育園の保護者ら約50人が、市を相手取り、「保育の質が落ちた」として民営化の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。 渡辺等裁判長は「保育園を廃止・民営化した市の条例は、特定の個人の権利義務などを定める行政処分とは言えず、処分取り消し訴訟の対象にならない」と述べ、廃止の違法を宣言して1世帯あたり10万円の慰謝料の支払いを命じた1審・横浜地裁判決を取り消した。そのうえで民営化の取り消しを求める訴えを却下し、慰謝料請求も棄却した。 判決によると、横浜市は03年12月に、市立保育園4園を廃止するよう条例を改正。04年4月から社会福祉法人による運営となった。渡辺裁判長は「保育園の廃止は、設置者の政策的な裁量に委ねられており、保護者の同意を得なくても違法ではない」と判断した。 1審判決は、改正条例は、個人の法的利益を侵害する行政処分だと