福島第一原発の敷地内のタンクにたまる汚染水について、東京電力は28日、一部のタンクから放出基準値の最大約2万倍にあたる放射性物質が検出されていたことを明らかにした。今回分析した浄化されたはずの汚染水約89万トンのうち、8割超にあたる約75万トンが基準を上回っていたという。 東電や経済産業省によると、多核種除去設備(ALPS)で処理した汚染水を分析したところ、一部のタンクの汚染水から、ストロンチウム90などが基準値の約2万倍にあたる1リットルあたり約60万ベクレルの濃度で検出された。東電はこれまで、ALPSで処理すれば、トリチウム以外の62種類の放射性物質を除去できると説明していた。 東電は今後、汚染水の海洋放出などの処分法を決めた場合は、再びALPSに通して処理する方針も示した。タンクに保管されている処理済みの汚染水は現在94万トン。現状の処理能力は1日最大1500トンにとどまっており、再
「一生懸命、仕事に打ち込んだ結果がこれなら、かわいそうや」。財務省の公文書改ざん疑惑が発覚した後の3月に自殺した財務省近畿財務局の男性職員の父親(83)が朝日新聞の取材に応じた。54歳でこの世を去った息子について、声を詰まらせながら語った。 父親は岡山県内の自宅で取材に応じた。傍らの仏壇の近くには、笑顔の遺影があった。 父親によると、職員は高校卒業後に国鉄に勤め、民営化を機に当時の大蔵省に転職。地方の事務所や本省勤務を経て大阪の近畿財務局に赴任した。仕事の傍ら夜間大学に通い、教員免許も取得したという。 亡くなった当時は学校法人・森友学園(大阪市)との国有地売買の交渉・契約の担当部署に所属。上席国有財産管理官という役職だった。 最後に会ったのは、今年2月半ばに実家に帰省したとき。こたつで3時間ほど世間話をした。「いつも通り大きな声で。多少痩せとるなぁ、という感じはしたんですけど」 近畿財務局
梶田隆章(かじた・たかあき) 東京大宇宙線研究所長。素粒子・宇宙線物理学の分野で、ニュートリノ振動という現象をとらえ、ニュートリノに重さがあることを証明。宇宙の成り立ちや物質の起源の解明に大きな影響を与えた。2015年ノーベル物理学賞 重要な論文減少、深刻な問題――論文数などの減少にみられる日本の科学力の低下をどう見るか。 影響力の大きい重要な論文の数が減っているのは深刻な問題だ。これには、自分で研究テーマを決められる研究者の数、自由な研究にあてる時間、研究費が関係していると考えている。任期のない助教といった正規の職が大きく減っており、若い研究者の多くは自分の判断で研究を進めることができていない。それが最も大きな問題と思う。
熊本市議会で28日、第3回定例会本会議の質疑で緒方夕佳議員(43)がのどあめを口に含んだまま演壇に立ったとして議員たちが非難し、その対応で本会議が何度も中断した。 議場での議員の飲食を禁止する明確なルールはないが、市議会会議規則にある「品位の尊重」に触れるとして急きょ懲罰特別委員会を設け、緒方議員への懲罰を陳謝と決めた。しかし緒方議員がこれを拒否したため、再び委員会を開き、さらに重い一定期間の出席停止を科すと決まった。閉会時間が予定より数時間遅れるなどした。 緒方議員はこの日午前、自らが紹介議員となり市民団体が昨年12月~今年9月に出した七つの請願がこの定例会の委員会で一括して不採択になった際の議論などを確かめようと、約1時間にわたり議会運営委員長に質問していた。議員から「同じことを何度も質問するな」「議事録を読んで」などといらだちの声が上がっていた。その中で、緒方議員があめを口に含んだの
旧優生保護法(1948~96年)のもと、不妊手術を強いられ、憲法が保障する基本的人権を侵害されたとして、聴覚障害がある兵庫県の夫婦2組が28日、国に計4400万円の賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こし…
自民党総裁選での安倍晋三首相の連続3選を、国会の外から注視していた人がいる。森友・加計(かけ)学園問題の追及で注目を集めたものの、昨年秋の衆院選で落選した元野党議員たちだ。絶大な権力を握る「1強」とまつわる問題にどう迫るべきだったのか。政界復帰をめざして自問する日々だ。 「石破(茂・元自民党幹事長)さんを支援した人たちは干されるだろう」。総裁選の投開票当日の20日、茨城県下妻市内を軽ワゴン車で回って支持を訴えていた元民進党議員の福島伸享(のぶゆき)さん(48)は、安倍首相3選の一報をスマートフォンで知り、親しかった石破陣営の議員を自らに重ねた。 首相の妻が名誉校長を務めた小学校の新設をめぐり便宜の有無が問われた森友問題で、学園関係者から独自に得たネタを首相に突き付けたのは昨年2月。「(学園への国有地売却に)私や妻が関係していれば首相も国会議員も辞める」との答弁を引き出し、問題追及の「起点」
1937年に東京―ロンドン間飛行で当時の世界最速記録を樹立した朝日新聞社の訪欧機「神風(かみかぜ)号」の48分の1の組み立て式精密模型が発売される。 神風号は同5月12日の英国王ジョージ6世の戴冠(たいかん)式に際し、日英友好を訴えた朝日新聞社の訪欧飛行に使われた。旧陸軍試作機を長距離向けに改造した純国産機で、名前は出発前に53万6507通の応募から選ばれた。機体長8・2メートル、翼幅12メートルで最高時速は500キロ超だった。 朝日新聞社の飯沼正明操縦士らが搭乗し、同4月6日午前2時12分に東京・立川飛行場を離陸。途中11カ所に着陸し、ロンドン郊外の飛行場まで1万5357キロを94時間17分56秒、給油や休養を除く実飛行51時間19分23秒で飛んだ。 実物は残っておらず、模型メ…
「日本はいま、やる気になった」。安倍晋三首相との会談を終えたトランプ大統領は26日、日本と二国間関税交渉の開始で合意したことを、まっさきに「成果」として強調した。米中間選挙に向けたアピールだが、トランプ政権がその先に見据えるのは、中国との貿易戦争でもあった。 「安倍首相と会ってきた。我々は日本と貿易交渉を開始している。日本は長年、貿易の議論をしたがらなかったが、今はやる気になった」 トランプ大統領は26日、国連総会を締めくくる記者会見で、真っ先に日本との貿易交渉の開始という成果を取り上げた。 さらに「私が『日本は我々の思いを受け入れなければならない。巨額の貿易赤字は嫌だ』と言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」と自身が日本から大きな譲歩を引き出したかのように語った。 実際、日本はオバマ前政権の時にも、環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐり、激しい通商交渉を重ねた。今回、トラ
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