さびにくいステンレス鋼、もらいさびには注意 合金鋼の中で、台所にある流し台(シンク)や包丁など最も身近な製品に用いられているのがステンレス鋼です。5大元素(炭素、シリコン、マンガン、リン、硫黄)にクロム(Cr)とニッケル(Ni)などを添加した合金鋼です。 最大の特徴は、何と言ってもさびに強い「耐食性」です。クロムと酸素が結び付いた緻密な酸化膜(不動態皮膜)が材料表面をしっかりと覆うからです。この皮膜が頑丈な保護膜の役割を果たしてさびを防ぎます。 さびの防止だけなら、炭素鋼の表面をめっき処理するという方法もあります。その方がコストは安いのに、あえて高価なステンレス鋼を用いるのは、炭素鋼の表面に処理しためっきは衝撃や磨耗に弱く、剥がれてしまうリスクがあるからです。めっきが剥がれた後、水分と酸素がある環境にさらされると一気にさびが進行します。 これに対してステンレス鋼の表面を覆う不動態皮膜は、衝