選択肢があるというのは それに伴う条件が揃ってのことだと痛感した ウチから歩いて数分の 西の山のふもとに大きな1本の樹が立っていて その姿が好きで 時々挨拶に行く 周りからポツンと やや寂しげにも見えるその姿は たとえ孤独であっても 凛とした生き様を示す見本のように立っている 先日のこと その前で 近所のおばあさんがポツンと佇んでいた 「お久しぶりです」 しばらく立ち話をした もうすぐ 長年住み慣れたこの街を出て行かれるという おばあさんのひとり暮らしを心配する息子さんが呼ぶので 大阪市内へ引っ越すのだけど ほんとうは ひとりでも今の家に住んでいたいというおばあさんの気持ちが 話を聞くうちに ひしひしと伝わって来た 「おじいさんと散歩に来ていた時も いつもこの樹に挨拶していたの」 孤独を分かち合える不思議な魅力が この樹にはあるようだ 「この間ね 友達が家に来て泣くの 引っ越しちゃったらも
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