ブックマーク / ikedanobuo.livedoor.biz (35)

  • 宗教戦争と法の支配 : 池田信夫 blog

    2010年02月24日01:34 カテゴリ科学/文化 宗教戦争と法の支配 いま日の直面している変化は、人々が自覚している以上に大きなものである。それは伝統的な共同体から日人が継承した長期的関係によるガバナンスから、近代西欧に特有の契約社会への移行だ。書は、この問題を宗教史の大家がまとめた大作の第2部である。 第1部では、11世紀にカトリック教会によって西欧文化圏が統合されて普遍的な教会法の支配が成立したことが、近代社会の決定的な要因だったとしている。書ではそれに続いて、宗教改革によって自律的な個人の契約(covenant)による組織としての株式会社ができたことが、西欧の成功の原因だったと結論している。他方、ファーガソンもいうように、株式によってリスクを分散する契約としての株式会社も重要なイノベーションだった。 近世の欧州で続いた宗教戦争の原因は、経済システムが契約ベースに変わった

    宗教戦争と法の支配 : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2010/02/24
  • 「検察リーク」について(これで最後) : 池田信夫 blog

    2010年02月15日23:32 カテゴリ法/政治メディア 「検察リーク」について(これで最後) 上杉隆氏との対談「検察リークと記者クラブ報道にマジレス」が終わった。すれ違いに終わるのではないかと危惧していたのだが、意外に事実認識は違わないことがわかった。主な一致点は結果としての捜査情報の漏洩という意味での広義のリークはある。それを報道することは、厳密にいえば公務員の守秘義務違反の幇助だが、これを処罰すべきではない。それをやった西山事件は、報道の自由を侵害する汚点になった。しかし2006年の最高裁判決は、取材源(公務員)を秘匿するための証言拒否を認めた。 検察が民主党政権を転覆するためにメディアに情報を流して情報操作を行なう、といった狭義のリークはない。検察は捜査情報が事前にもれることを非常に警戒しており、取材はきわめて困難で、普通の官庁のように記者クラブに積極的にサービスすることはない。

    「検察リーク」について(これで最後) : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2010/02/16
  • 「需要か供給か」という不毛な論争 : 池田信夫 blog

    2009年12月17日01:19 カテゴリ経済 「需要か供給か」という不毛な論争 菅直人氏と竹中平蔵氏の論争が話題を呼んでいる。これが日の国家戦略の出発点になるだけに重要な意味をもつが、議論がさっぱり噛み合っていない。 そのひとつの原因は、竹中氏のプレゼンテーションにある。彼は「経済成長を決めるのは供給側だ」として、民営化や規制改革によって経済の効率を高めるべきだと説くのだが、菅氏がこれに「今の不況は需要不足だ」と反撃し、竹中氏が「需要も大事だ」と答えたため、わけがわからなくなった。竹中氏は潜在成長率というべきところを、わかりやすく「供給側」といったのだろうが、それが問題を混乱させてしまった。 経済問題の原因を「需要か供給か」と問うのは意味がない。「不況は需要不足だから供給を増やす構造改革はナンセンス」などという話がよくあるが、不況はつねに現象的には需要不足である。問題は、その原因が何か

    「需要か供給か」という不毛な論争 : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/12/17
  • マッハとニーチェ : 池田信夫 blog

    2009年12月16日13:58 カテゴリ科学/文化 マッハとニーチェ スパコンをめぐるドタバタで、行政刷新会議は討論会を開こうとしているが、文科省は既定方針どおりで強行突破をはかっている。こうなると、ゼネコンもITゼネコンも同じようなものだ。イノベーションにとって何が必要かを、当の科学者も理解していないのは憂になる。 いま私の書いているイノベーションについてのの出発点は、マッハである。彼の名前は、世間ではジェット機の速度の単位でしか知られていないだろうが、書も指摘するように彼は20世紀の思想の源流ともいうべき存在で、ニーチェもフッサールも彼の影響を受けた。アインシュタインはマッハの追悼文でこう書いている:私の仕事にとってマッハとヒュームの研究が非常に助けになった。マッハは古典力学の弱点を認め、半世紀も前に一般相対性理論を求めるのにあとちょっとのところまで来ていた。[・・・]マッハ

    マッハとニーチェ : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/12/16
  • この10年の本ベスト10 : 池田信夫 blog

    2009年12月13日01:28 カテゴリ この10年のベスト10 雑誌には「今年のベスト10」が載る季節になったが、ここでは範囲を広げて2000~09年の10年間のベスト10を選んでみた。私の週刊ダイヤモンドの書評も、まる10年になった。来春には「経済書のブックガイド」を出す予定。原書を除いてリストアップすると、クリステンセン『イノベーションのジレンマ』 コルナイ『コルナイ・ヤーノシュ自伝』 ネグリ&ハート『帝国』 グライフ『比較歴史制度分析』 タレブ『ブラック・スワン』 アカロフ&シラー『アニマルスピリット』 デリダ『マルクスの亡霊たち』 中山信弘『著作権法』 レッシグ『コモンズ』 アンダーソン『ロングテール』1は今や古典になったが、これを日で世に出したのは私の書評だった、と訳者に感謝された。2は社会主義という壮大な悲劇を経済学者が分析した感動的な。3も9・11以後の状況を語る

    この10年の本ベスト10 : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/12/14
  • マックス・ウェーバーのニヒリズム : 池田信夫 blog

    2024年03月09日22:21 カテゴリ マックス・ウェーバーのニヒリズム 日人はニーチェが好きだ。彼はヨーロッパ(特にドイツ)では無神論者としてきらわれているが、日では『超訳 ニーチェの言葉』などという偽書が100万部以上も売れた。その中身は「初めの一歩は自分への尊敬から」とか「いつも機嫌よく生きるコツ」といったハウツーものだ。天然ニヒリストの日人にとっては、神が死んだかどうかなんてどうでもいいのだろう。 他方で日には、大塚久雄以来の「ウェーバー学」の伝統がある。これは講座派マルクス主義の変種で、『プロテスタンティズムの倫理と資主義の精神』を金科玉条として「日人の精神的自立」を説くもので、膨大な文献学の蓄積がある。 こうした近代化論的なウェーバーの読み方は日特有のもので、歴史学では『プロ倫』は否定されている。『世界宗教の経済倫理』などの宗教社会学も、ドイツ語訳の2次文献

    マックス・ウェーバーのニヒリズム : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/11/16
  • 沈没した「スパコンの戦艦大和」 : 池田信夫 blog

    2009年11月15日12:14 カテゴリIT 沈没した「スパコンの戦艦大和」 私が2年前の記事で「スパコンの戦艦大和」と批判した京速計算機が、行政刷新会議の事業仕分けで事実上の打ち切りが決まった。これに対して理研の野依所長は「スパコンなしで科学技術創造立国はありえない」と憤慨していたそうだが、これは筋違いである。問題点は4つある。予定した性能が実現できるのか:事業仕分けでは「世界一に意味があるのか」という疑問が出たというが、そもそも京速は世界一になるかどうかが疑わしい。今年6月のTop500リストのトップは、IBMのRoadrunnerの1.1PFLOPS。NECと日立が脱落して設計が根的に変更され、110TFLOPSの実績しかない富士通が単独で設計をやり直して、その100倍の性能が2年で実現できるとは思えない。 スパコンは道具にすぎない:理研で行なうのは学問研究であって、コンピュータ

    沈没した「スパコンの戦艦大和」 : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/11/16
  • 事業仕分けという人民裁判 : 池田信夫 blog

    2009年11月12日12:32 カテゴリ法/政治 事業仕分けという人民裁判 きのうから行政刷新会議の始めた「事業仕分け」の実態は、ネット中継やツイッター中継までされたが、予想以上に混乱した会議の状況を見て唖然とした。こんな乱暴な人民裁判を続けるのは、民主党政権の恥だ。 まず問題なのは、仕分けの対象になったのは概算要求に出ている約3000の国の事業のうち15%足らずの447事業にすぎないということだ。残りの85%は仕分けの対象にならないので、勝負はこの段階でついている。これを選んだのは、実質的には財務省の主計局である。予算書というのは細かい数字の並ぶ膨大な書類で、素人が読んでもわからない。 しかも対象になった事業をみると、大竹文雄氏も指摘するように、期限付きの事業で来年度からやめることが容易なものが多い。こういう事業には恒久的な要員がついていないため廃止しても人件費は減らないので、官公労も

    事業仕分けという人民裁判 : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/11/13
  • デフレについての補足* : 池田信夫 blog

    2009年11月11日09:43 カテゴリ経済テクニカル デフレについての補足* 勝間氏のデフレ論は、マクロ政策に人々の関心を集めたという点では、よかったのかもしれない。しかし「繰り返し主張し続けます」といっていたはずの彼女は「断る力」を発揮し、横からからんできた矢野浩一氏も中途半端に謝ったたまま逃げてしまったので、唯一の専門家の反論は飯田泰之氏のものだろう。 飯田氏の事実認識は、実は私とあまり違わない:長期的な潜在成長率と短期的なGDPギャップは別の問題であり、リフレによって潜在成長率を上げることはできない。ただしマイルドなインフレが賃金や債務の調整を容易にして成長を支援する効果はあるだろう(これは誰も否定していない)。問題は、現状でどっちが重要な問題かということだ。飯田氏はこう書く:現在の日では労働力・資の有休[原文ママ]が発生しています.要はデフレギャップです.現在の日において

    デフレについての補足* : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/11/12
  • ルサンチマンの力 - 池田信夫 blog

    2009年11月10日17:03 カテゴリ科学/文化 ルサンチマンの力 先日の記事で勝間和代氏のリフレ提言(?)にコメントしたら、すごい反響があった。誤解をまねくといけないので補足しておくと、私は勝間氏のは立ち読みしかしたことがないので、中身はよく知らない。前に彼女のについてブログで書いたら、人がコメント欄に登場し、私に会いたいということで話をしたが、「私のは中身じゃなくてマーケティングなんです」とのことだった。 そういうわけで私は彼女の著作について語る資格はないのだが、たまたまきょう発売の『VOICE』に斎藤環氏の「“勝間和代ブーム”のナゼ?」というエッセイが出ていた。私がおもしろいと思ったのは、斎藤氏の次のような分析だ: なるほど勝間氏自身は、自己変革に成功して、その「パーソナル資産」を「社会変革」に向けられる立場に到達しえたのかもしれない。しかし著書を読むかぎり、勝間氏の影響

    ルサンチマンの力 - 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/11/11
  • 所得格差は拡大しているか : 池田信夫 blog

    2009年02月01日22:08 カテゴリEconomics 所得格差は拡大しているか けさの記事では「分配の公平は効率とは独立の問題だ」と書いたので、所得分配についても簡単に補足しておこう。これは最近、多くの論争が行なわれたテーマだが、おおむねOECDの分析の通りだろう。すなわち日の所得格差(ジニ係数)は図のようにOECD諸国の平均よりやや高い程度で、最近は低下している。 市場所得の貧困率はOECD諸国の平均より低いが、所得再分配後の貧困率は第4位である。 特に若年層や非正規労働者の貧困率が高まっていることは懸念すべき現象だ。したがって中谷巌氏のような「かつて日は平等だったが、構造改革で格差が拡大した」といった通俗的な議論はナンセンスである。図のように20年前から日のジニ係数はOECD諸国の平均より高く、構造改革の行なわれた2000年代に低下している。これは90年代の不況で拡大した

    所得格差は拡大しているか : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/11/06
  • 2000年代のベストアルバム : 池田信夫 blog

    2009年11月04日18:56 カテゴリ科学/文化 2000年代のベストアルバム Paste誌の選出した2000~09年のベスト10は次のとおり:Sufjan Stevens: Illinoise Wilco: Yankee Hotel Foxtrot Arcade Fire: Funeral Radiohead: Kid A Bright Eyes: I'm Wide Awake, It's Morning The White Stripes: Elephant Gillian Welch: Time (the Revelator) OutKast: Stankonia The Avett Brothers: I and Love and You M.I.A.: Arular オールタナティブに片寄っているが、1と2は文句なしだろう。3は好みがわかれ、4は彼らのベストとはいえない。私な

    2000年代のベストアルバム : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/11/05
  • 民主党政権の解決できる簡単な問題 : 池田信夫 blog

    2009年11月03日20:04 カテゴリ法/政治IT 民主党政権の解決できる簡単な問題 50兆円を超える国債を「44兆円以下に圧縮する」という首相の約束を実現するのは大変な難問だが、もっと簡単に解決できる問題がある。こういう小さな問題だけでも解決すれば、民主党政権の評価も少しは上がるのではないか。ケンコーコムがシンガポール経由で日向けに医薬品を売ることになった。薬事法の改正で、薬のネット通販が大幅に規制されたためだ。Amazon.comでは今でも、国内で禁止されている薬も買えるので、この規制はネット通販の「空洞化」をまねき、リスクを高める。これは省令で決めているだけなので、長厚労相が「この省令は廃止する」といえば廃止できる。 デジコン委で廃止されることになったはずのB-CAS社が、「ミニB-CASカード」なるものを今月から売り出した。これも既定方針どおり、総務省がB-CAS社を解散さ

    民主党政権の解決できる簡単な問題 : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/11/04
  • 左翼の堕落 : 池田信夫 blog

    2009年11月02日00:38 カテゴリ法/政治 左翼の堕落 先日紹介した他にも、このごろ廣松渉の論文集が次々に復刊されている。団塊オヤジに売れるのかもしれないが、それをパラパラ見ていると学生時代の記憶がよみがえってくる。あのころはまだ「左翼の影響を受けない奴は頭が悪い」という風潮があり、誰もが(わからないなりに)マルクスやレーニンを読んだものだ。民青はバカにされていたが、吉隆明(ばななのお父さん)や廣松の知的な権威は高く、それぞれを信奉する党派もあった。 しかし最近、『蟹工船』のイデオローグとして活躍するのは、湯浅誠氏のようなドロップアウトや雨宮処凜氏のような芸能人などの、知的な権威とは無縁の人物ばかり。彼らの応援団(?)も、無内容な社会学的センチメンタリズムで、その中心人物はセクハラ教師。若者を引きつける知的な魅力がないため運動としても盛り上がらず、結果的には(新左翼のバカにした)

    左翼の堕落 : 池田信夫 blog
    Utasinai
    Utasinai 2009/11/02
  • 池田信夫 blog:ウィトゲンシュタインとラムゼー*

    ウィトゲンシュタインとラムゼー* テクニカルな話には*をつけることにしたので、経済学や哲学に興味のない読者は無視してください(BLOGOSにも転載しなくて結構です)。 今月の日経済学会の招待講演で、神取道宏氏が今後の経済学の方向として行動経済学をあげていた。ただしその現状は、物理学でいえば落ち葉の運動がニュートンの運動方程式(新古典派理論)では記述できないと指摘するにとどまっており、そのゆらぎにいろいろなパラメータを当てはめてアドホックな仮説を立てている段階だ。神取氏は、ここから進んで空気抵抗の理論のようなものを見つけないと行動経済学は行き詰まるといい、空気抵抗に相当するのは人間の認知構造だと結論した。 神取氏から認知構造という言葉が出てきたのは意外だったが、これを空気抵抗のような例外と考えている限り、行き詰まると思う。天動説に惑星の運動のような例外を際限なく付け加えれば、天体の運動

    Utasinai
    Utasinai 2009/10/26