甚大な被害となった先月の九州北部豪雨は、積乱雲が一直線に連なる「線状降水帯」によって発生した。集中豪雨の6割はこの現象が原因で起きているが、メカニズムはよく分かっておらず予測は難しい。観測態勢の強化が急務だ。(伊藤壽一郎) 積乱雲が一直線に線状降水帯は激しい雨を降らせる積乱雲が一列に連なる現象のこと。長さ50〜200キロ、幅20〜50キロの広い範囲で何時間も続くのが特徴だ。 局地的な大雨をもたらすゲリラ豪雨は一つの積乱雲によって発生し、10キロ四方程度の狭い範囲で1時間ほどで収まる。線状降水帯はゲリラ豪雨の行列のようなイメージだ。1990年代から知られていた現象だが、近年の相次ぐ被害で注目度が高まっている。 線状降水帯はどのように生じるのか。気象庁気象研究所の津口裕茂研究官は「4つの基本条件がそろうと発生しやすい」と解説する。 まず、暖かく湿った空気が継続的に流入すること。これが微細な水の
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