国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の開門期限が、十カ月後に迫った。開門に伴う対策工事には、三百三十億円が投じられる。税金の使われ方に国民の厳しい目が注がれる中、総額二千五百三十億円を費やし完成した干拓事業への、さらなる国費投入が止まらない。 (山口哲人) 国は福岡高裁の確定判決に従い、十二月二十日までに潮受け堤防に付設された排水門を開け、五年間の開門調査を始める。しかし、開門すると農業用水に使われている調整池に海水が入り込む。 そのため農林水産省は、代替水源として海水淡水化装置を二百四十億円をかけて設置。そのほか排水ポンプなど各種設備に九十億円かかり、計三百三十億円を投入する。これ以外にも、装置の電気代など維持管理費や開門調査費は毎年計十数億円に上る。