★★★★☆(評者)池田信夫 日本の幸福度 格差・労働・家族 販売元:日本評論社 発売日:2010-07-16 クチコミを見る 幸福とは何だろうか。経済学では幸福度が効用(utility)という形で計測可能で、効用を最大化することが個人の目的だと仮定する。効用は財やサービスの消費量の増加関数と仮定するので、ここから導かれる結論は、所得が増えれば幸福度が上がるということである。 これは検証可能な命題だが、これまでに行なわれた実証研究はほぼ一致して、そのような因果関係がみられないことを示している。所得が急速に伸びる発展途上国では、所得とともに幸福度が上がるが、年収1万ドルを超えると相関関係が弱くなり、家庭や職場など所得以外の要因の影響が大きくなる。これは逆にいうと、所得が上がらなくても幸福になることが可能だということで、成長率の落ちた日本では大事な問題だろう。 特に本書でくわしく調べているのは
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