さあようこそ、のど自慢に ヒゲさんの車で徹たちが「もとずろう温泉旅館」に戻ったのは、その日の午後6時前だった。はなえはそのまま温泉に入り、食事をした後は自分の宿泊部屋に入った。 徹は午後7時から宴会ルームで行われる「もとずろう温泉旅館 のど自慢大会」を見ながら酒を飲むことにした。今回はさすがに参加者も少なく6人ほどだという。コロナウイルスの影響で宿泊客は皆無に等しく、徹とはなえの他は地元の人ばかりだった。宴会ルームには空気清浄機を四方に設置し、ずんいちろ社長はこういう時期だからこそ、皆が元気を出すために開こうと決めたのだ。 「やあやあ、ようこそ」 宴会ルームに徹が入ると、マイクテストをしていた男が声をかけてきた。 「初めてですね。地元の人じゃないね。今日は思い切っきり歌ってさ」 「いやいや、僕は見に来ただけですよ。参加しなくても。見るだけでいいからってヒゲさんに言われました」 「そう。ヒゲ
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