○細馬宏通「絵はがきの時代」読み中。 (青土社 ISBN:4791762746) 中学の修学旅行は九州だった。長崎を振り出しに熊本、宮崎、鹿児島というルートだったと思う。 長崎の土産物屋で絵はがきセットを買った。グラバー邸や平和祈念像など見物した風物がセットに組まれていたから購入したのだが、買った後内容を点検していて心惹かれたのはちんちん電車の絵はがきだった。 ちんちん電車の絵はがきは私の旅情に火をつけた。 実はひそかに電車に憧れていた。なんせ鉄路のない沖縄の中学生である。電車なんか見たことないのだ。 ちんちん電車の絵はがきは脳内電車イメージを猛烈刺激した。もう普通の電車は嫌だ。絵はがきのアレが見たい。アレが走る姿をこの目で見たい!と希求した。 バスに揺られ修学旅行する中学生の私。しかし脳内の私は別の旅に向かっていた。絵はがきの向こう側、もうひとつの長崎へ。 前略、あなた。 細馬宏通「絵は