ハーバー・ボッシュ法というのをご存知だろうか?水素と窒素を反応させ、アンモニアを作る化学的技法である。アンモニアを何にするかというと、主には肥料を作る。「空気からパンを作る技術」とも呼ばれ、これが登場したことにより人類の歴史が新たなステージに到達したとさえ言われる、史上に最も重要な発明の一つだ。1906年の登場から長く現役だったのだが、効率的にこれを超えるかもしれない新たなアンモニア合成技法が、東京大学と九州大学によって開発されたという。 ハーバー・ボッシュ法では、鉄などを主体とした合成触媒を用いる。新たな技法では、モリブデン窒素錯体を用いる。このモリブデン窒素錯体というのは自然に存在するようなものではなく、今回の研究のために新たに分子構造から設計したものであるという。窒素をアンモニアに変換する反応を引き起こすのに適したPCPピンサー配位子を持つ。常温・常圧下で驚異的な効率のアンモニア合成