これは、前回の記事のいわば続きというか補足である。最後の段落でぼくは、アートとは政治によってやっと存在することを許されるような従属的存在ではない、という意味のことを書いた。それはどういう意味か。たんなる理想論を言っているのか。現に、新しい美術大学の開学が、一大臣の発言によって危機にさらされたではないか。そもそも芸術分野に配分される予算を決めるのは政治の判断であって、芸術自身には決められないではないか。そうした問いに対してお答えしたい。 本質的な意味で考えるならば、アートにとって政治とは、アートを外から支配する何らかの力ではない。むしろ、アートとは政治そのものなのである。けれどもこのことを理解するには、政治とは何か、「政治的である」とはそもそもどのようなことなのかを、考えてみなければならない。というのも、私たちが常識的に理解している「政治」は、政治的なものの本質を何も語っていないと思うからで