2008年7月3日、公開共同研究「哲学と大学」第5回が実施され、野口雅弘 (早稲田大学政治経済学術院・助教)が発表「マックス・ウェーバーの学問論――大学のアメリカ化と知識人の「責任」」をおこなった。『職業としての学問』(1917/19年)が集中的に読解され、そのアクチュアルな解釈が披露された。 『職業としての学問』において、ウェーバーは二つの流れと対決している。一つ目は、第一次世界大戦後の政治の横溢状況のなかで、大学の講堂に「指導者」を求め、「生き方」を聞きに来る若者たち。二つ目は、アメリカ的な技術的手段としての学問である。 学問は世界観を教授するのか、それとも、生活上の技術を提供するのか――1910年代、大学モデルの趨勢はドイツ型モデルからアメリカ型モデルに決定的に移行した。膨大な研究予算によって工業化や専門化が促進されるアメリカ型の大学が優位となり、生き方の基準となる原則の研究教育を掲