演劇を鑑賞する客層が高齢化している あるとき、演劇業界に在籍するという読者から、かれが身を置く業界の行く末を憂慮する手紙を受けとったことがあった。コロナによる興行中止や規模縮小のあおりを受け、数字でも目に見えて業界はいま苦しい状況にあるが、それとは別に憂慮すべき「懸念材料」が、このパンデミックが始まる前からあったのだという。 すなわち、客層の高齢化である。 手紙の送り主は、いまの主たる顧客がいなくなってしまえば、それと一緒に舞台芸術も商業的に成り立たなくなってしまうのではないかと不安を綴っていた。そして「なぜ若者は舞台芸術に親しまなくなったのでしょうか?」と締めくくられていた。 舞台の観劇にやってくるのは、実際のところ中高年世代が中心であり、20~30代の若い世代は(マンガやアニメ作品とのメディアミックス的な位置付けであるいわゆる「2.5次元」と呼ばれるジャンルを例外として)たしかに舞台鑑