山中 浩之 日経ビジネス副編集長 ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。 この著者の記事を見る
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ソチ・オリンピックの見すぎで寝不足になっている慎泰俊です。皆様はいかがお過ごしでしょうか。(だ・である調の文体から、です・ます調にしてみました) 先日はジャンプ個人における葛西紀明選手の姿を見て涙を流しました。20代前半の頃はそうでもなかったのですが、30代になると、ああいう「往生際が悪いけどカッコいい大人」にずいぶんと感情移入してしまうようです。 さて、この原稿がアップされる頃には冬季オリンピック花形競技のひとつである女子フィギュアスケートが注目を集めていることでしょう。私も、夜通しテレビにかじりついて勝負の行方を見ていくのではないかと思います。 当然のことでもありますが、こういった国際大会においては報道が自国に偏りがちです。そこで、このコラムの趣旨に沿って、世界における関心や下馬評がどのようなものなのかを、マスメディアとソーシャルメディアを横並びで比較させながら、考えてみましょう。 メ
企業ケース(2)大幸薬品 大幸薬品の看板商品で、111年の歴史を有する止瀉薬の「正露丸」。国内での認知度は9割以上に達し、止瀉薬市場でのシェアは50%を超えている。しかしその数字の内訳をよく見てみると、高年齢化が顕著で、若年層に弱いことが明らかに。年中無休のドラッグストアが当たり前の存在となった若い世代は、家庭の常備薬の定番である正露丸に触れる機会が少なくなったといえる。 そんな状況の中、将来にわたって止瀉薬のナンバーワンであり続けるためには、今から手を打つ必要がある。そこで、これまでのプロモーションとは違った手法でメッセージを伝えようと動いたのが岡本智充氏(42歳)。正露丸ブランドのイメージ転換に挑む。 皆さんはご存じだろうか?1年間で止瀉薬が最も売れるのは、夏と冬の季節であることを。その時期を狙った正露丸のキャンペーンが、2013年の夏と、2013年年末から2014年年始にかけて行われ
日経ビジネス2月10日号の特集「働き方革命」では、労働時間にメスを入れることで競争力を高めようとしている企業のケーススタディーを掲載した。 ダラダラと働く文化を変えて労働生産性を高める、多様な働き手を集めるなど、企業の狙いは様々だ。この連載では誌面に取り上げられなかった企業の事例や、「働き方革命」によって自らの働き方や意識を変えたビジネスパーソンを紹介しよう。 「1000円、10分カット」。理美容業界で異端とも言えるビジネスモデルで成長を続けるQBハウス。今、雇用の面でも、業界の常識を覆す動きを見せ始めている。 朝10時の開店とともに、引きも切らずに客が入ってくる。ショッピングモールの中にある「西友小手指店」(埼玉県所沢市)は、ここから昼過ぎまでが書き入れ時だ。家族で西友に買い物に来た夫が、妻や子供が買い物をしている間に髪を切ろうとやってくるケースが多い。 同店で一心不乱にハサミを動かし続
宗像 誠之 日経ビジネス記者 日経コミュニケーション、日本経済新聞社産業部、日経コンピュータを経て、2013年1月から日経ビジネス記者。 この著者の記事を見る
日本テレビのドラマで、親と暮らすことができない子どもたちを取り上げた「明日、ママがいない」が多くの批判を集めている。 正直なところを言うと、電車でこのドラマのポスターを見た時点で、気が重くなった。ドラマが世間の偏見を助長して、また子どもたちが嫌な思いをするのではないかと思ったからだ。 実際に、このドラマは子どもへの偏見を助長する可能性があるかもしれないものだったし、のみならず児童養護施設の設定は現実とはかなりかけ離れていた。児童養護施設側の方々が、このドラマが現実と乖離していると憤るのも分かる。ただし、設定のハチャメチャさは法廷モノや刑事モノのドラマとて同じことでもある。 しかし一方で、子どもの目線に立つと、描写がかなりリアルだなと思ったのも事実だ。実際、施設出身者からは、自分たちの心象風景をよく描いているという声も聞かれている。 番組に対する批判はすでに多量に寄せられているので、そこには
「バイトテロ」で企業が倒産に追い込まれる事態がついに発生してしまった。 東京都多摩市。東京都下の丘陵地帯に造成された多摩ニュータウンにあるそば屋の「泰尚(たいしょう)」。幹線道路沿いの好立地で営業していたにも関わらず今年8月に閉店。東京地裁に破産を申請して、10月9日に破産手続き決定を受けた。 同社は前社長が亡くなった昨年9月にそれまで3カ所あった店舗を1店に縮小しての再建中だった。その最中、思いもかけない事件が起きた。 アルバイト店員の男子大学生が店内での悪ふざけ画像をインターネット上に公開したのだ。「洗浄機で洗われてきれいになっちゃった」というコメント付きで洗浄機に横たわったり、顔を突っ込んだりした画像をツイッターで投稿。さらには流し台に足をかけたり、胸をはだけ、店の茶碗をブラジャーのように胸に当てたりした画像など、目覆わんばかりの画像も投稿していた。 問題行為が発覚して、ネットが「炎
放射線は冷静に怖がらなければいけない――。チェルノブイリや東海村の臨界事故、そして福島第一原発事故などの現場にいち早く駆けつけ、被ばく者の救援活動にあたった米国人医師ロバート・ピーター・ゲイル氏はそう訴える。骨髄移植と白血病治療の権威で、「日本では放射能汚染に対する警戒のスタンスに、誤解がある」と指摘する。このほど『放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ』(早川書房)を上梓し福島入りのため来日したゲイル氏に、執筆の動機などについて話を聞いた。 (聞き手は広野彩子) 福島第一原発の事故以来、放射能汚染に対する懸念が収束しません。ゲイルさんは、事故直後から現地で支援にあたり、外国人記者クラブで会見などもされていました。今年、『放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ』という本を上梓されましたが、原発容認派なんですか。 ゲイル:そうではありません。私は東日本大震災の約1週間後に現地入りして以来、2年以
宇宙に人や物資を運ぶ究極の輸送手段とされる「宇宙エレベーター」をご存知だろうか。 高度3万6000kmの静止軌道上に宇宙ステーションを建設し、そこから地表へとケーブルを垂らす。このケーブルにクライマー(昇降機)を取りつけ、時速数百kmのスピードで人や荷物を行き来させるという構想だ。 完成はどんなに早くても21世紀半ば以降と言われ、資金面、社会制度面からも達成へのハードルは決して低くない。それでも、ロケットでは困難な宇宙への大量輸送を実現する手段として、要素技術の研究開発を進める動きは世界各国にある。中でも、2009年に発足した一般社団法人宇宙エレベーター協会(大野修一会長)が毎夏に実施している宇宙エレベーターチャレンジ(旧技術競技会)は、今や世界で最大規模の競技会だ。 巨大バルーンからケーブルを吊るす 去る8月10日、早朝に自宅を出た記者は、今年で5回目となる宇宙エレベーターの競技会を見学
シリーズ最終回になる今回の原稿を編集部に送った直後の9月23日、17時32分、イギリスの中川毅さんから、 「速報です。IntCal13の論文が今日発表されました」 というメールが届いた。さらに12分後、第2信があり、あわただしい感じでこう伝えてきた。 「『論文が出た』と書きましたが、要するに『IntCal13が公表された』のと同義です」 「とびきりの野菜」から「極上のシチュー」ができた 「IntCal」(イントカル)とは「国際的な較正曲線」のことだ。 長さの基準は「メートル原器」、重さの基準は「キログラム原器」だが、現在~5万年前の地質時代の年代決定の「原器」が公開されたことを意味している。これを策定したのは「炭素14」による「ものさし」を決めている「IntCal」グループだ。 水月湖の「年縞」が過去5万年までのこれまでにない最上の「ものさし」であることは2012年に国際的なお墨付きを得て
2012年10月18日。東京の文部科学省の会議室で、異例の記者会見が行われた。 米国科学振興協会(AAAS、The American Association for the Advancement of Science)が発行している世界を代表する科学雑誌「サイエンス」の担当者たちが来日、翌日付の「サイエンス」誌に掲載した論文について執筆者たちを招き異例の記者会見を行ったのである。 こんな話は聞いたことがない。 「はやぶさ」の時にもなかったこと 「サイエンス」誌に掲載された日本の研究では、近年では小惑星探査機「はやぶさ」が行った小惑星「イトカワ」の近接観測の成果、持ち帰ったサンプルの解析成果が特集扱いで2度にわたり掲載されことが記憶に新しい。だが、その2度の「はやぶさ」特集の時でさえ、「サイエンス」誌は日本で記者会見を行ってはいない。 東京での発表は、論文『水月湖から得られた1万1200年
「君ねぇ、知ってるか。最近は包丁やまな板が家にないっていう人だって多いんだぞ」 大手スーパー、マルエツの上田真社長と先日話していたら、そんなことを教えてくれた。最近、東京都内などの売り場を訪れると、やたらと目立つようになってきた「カット野菜」のコーナーについて、話が及んだ時のことだ。 カット野菜とは、調理の際に細かく切らなくて済むように、あらかじめ適当な大きさに刻んでパックで売っている生鮮野菜のこと。忙しい共働き世帯や、調理が面倒な単身者の人気を集めているとされる。 加工の手間がかかっている分、重量当たりの価格で比較すれば、そのままの生鮮野菜を購入するよりも断然割高だが、「丸ごと買っても使いきれない」ときがあることを考えると、表面的な価格差よりは経済的な負担感はないのかもしれない。 そんなカット野菜が少なくとも都市部で売れているのは、売り場を見れば一目瞭然だ。 農畜産業振興機構によると、カ
ネット通販を利用する人が増え続ける中で、カタログ通販は生き残ることができるのか――。7月26日に通販大手のニッセンホールディングスが発表した2013年1~6月期の決算は、この難題を同社に突き付ける結果となった。 同社の連結売上高は、ギフト販売のシャディなどを買収した効果もあって前年同期比46.2%増の約1025億円と大きく増えた。その一方、営業損益は約16億円の赤字。期初予想の5億5000万円の黒字を大幅に下回った。アベノミクスによる円高是正や消費回復で業績が大きく上向く企業が多いだけに、ニッセンHDの赤字転落は目を引く。 赤字転落の主な要因が主力の通販事業の不振だ。営業損益が計画から減少した要因を見ると、子会社ニッセンの売り上げ減少による粗利益の減少と、ニッセンの原価率の悪化でそれぞれ約12億円のマイナスとなっている。 海外で製造した商品を輸入して国内で販売するニッセンにとって、アベノミ
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