東京一極集中の是正に向け、厚生労働省が首都圏の若者らを対象に都内で開いている地方創生関連イベントで、一部の参加者に現金が支払われていたことが分かった。イベントは人材派遣大手のパーソルテンプスタッフ(東京)への委託事業で、集客に関与した関係者が「現金を支払う条件で参加者を募り、派遣した」と本紙に証言した。国の地方創生事業で不適切な動員が明らかになったのは初めて。(前口憲幸)
東京一極集中の是正に向け、厚生労働省が首都圏の若者らを対象に都内で開いている地方創生関連イベントで、一部の参加者に現金が支払われていたことが分かった。イベントは人材派遣大手のパーソルテンプスタッフ(東京)への委託事業で、集客に関与した関係者が「現金を支払う条件で参加者を募り、派遣した」と本紙に証言した。国の地方創生事業で不適切な動員が明らかになったのは初めて。(前口憲幸)
政府の観光支援策の「Go To トラベル」事業に参加登録している長野県のホテルで、新型コロナウイルスの感染者が出たことが分かった。4日に国会の野党ヒアリングで野党側が指摘したが、事業を所管する観光庁の幹部は把握していなかった。 「Go To」は、コロナで大きな打撃を受けた観光事業者を救う重要施策だが、感染拡大を助長する懸念もある。野党からは「感染者が出たという基本的な事実もつかめていないのに、感染防止と事業の両立が図れるのか」と批判が出た。 ヒアリングでは、野党側が「『Go To』の利用者で感染者はいるのか」と繰り返し問い、そのたびに観光庁幹部は「参加登録している宿泊事業者、旅行業者からの報告は受けていない」「宿泊事業者が感染者を把握していたら報告が上がる仕組みになっている」と返答していた。
新型コロナウイルス感染拡大中の3月、東京都立学校253校(当時)全ての卒業式で「君が代」が斉唱されていたことが、都教育委員会への取材で分かった。同月2日から全国一斉休校となり、飛沫感染を懸念する学校もあったが、実施を求める都教委の指示に従っていた。専門家は「歌わない教職員の処分が繰り返され、合理的な判断ができなくなっている」と指摘する。 (石井紀代美) 都教委は毎年、都立校や区市町村立校から日の丸掲揚や君が代斉唱の「実施状況報告書」を集めている。本紙が入手した2019年度の都立校の報告書によると、今年3月1日から同月下旬までに卒業式を行った中学、高校、特別支援学校など全校が「国歌斉唱した」と回答していた。 都教委の説明などによると、安倍晋三首相が全国一斉休校を打ち出した2月27日までに、自治体から「飛沫感染防止策として歌わないことを考えている」「歌わないと、服務事故扱いになるのか」などの問
新型コロナウイルスで国内最大級の院内感染が起きた永寿総合病院(東京都台東区)の湯浅祐二院長が1日、日本記者クラブで初めて記者会見した。原因は新型コロナだと疑うのが遅れ、感染予防策が不十分だったと説明。亡くなった患者や遺族に「深くおわび申し上げる」と謝罪した。 (藤川大樹) 湯浅院長によると、患者や職員の発熱から、病院では3月20日ごろに集団感染と気付いた。23日にPCR検査で患者2人の陽性が判明し、全患者と全職員の検査を開始。5月23日までに患者やその家族ら131人、職員83人の計214人が感染し、患者43人が死亡した。亡くなった人のおよそ半数が血液疾患で入院中だった。
「プラスチックごみが増えるお菓子の過剰包装をメーカーはやめてほしい」。新型コロナウイルス感染に伴う外出自粛の影響で、家庭ごみが増える中、東京都内の私立高校1年の女子生徒(16)が、身近なお菓子について、こんな署名活動をネット上で始め、賛同の輪が広がっている。 (井上真典) 「私のような中高生が大好きな『お菓子』。そんなお菓子を作ってくださっている亀田製菓さんとブルボンさんにお願いがあります」。五月十三日、オンライン署名サイト「change.org」で提案すると、六月四日現在で約一万七千人の署名が集まった。 女子生徒は、両親ときょうだいの五人暮らし。四、五月はオンライン授業を受けるなど自宅で過ごす毎日。母親とプラスチックごみの整理をしていたとき、食品を包装するごみの多さにショックを受けた。「昨日ごみを出したばかりだったのに、リビングのごみ箱は、翌日にはいっぱいに。押し込んでもすぐパンパンにな
新型コロナウイルスの感染実態を調べるため、感染症に詳しい久住英二医師が東京都内でウイルス抗体検査をしたところ、一般市民の4・8%、医療従事者の9・1%が陽性(抗体あり)で、過去に感染していたことが分かった。久住医師は「現行のPCR検査で判明する感染者よりはるかに多く感染している可能性が高く、確実にまん延していると言える」と指摘している。 (市川千晴) 検査は久住医師が理事長を務める新宿区と立川市のクリニックで二十一~二十八日に実施。ホームページで希望者を募り、二十~八十歳の男性百二十三人、女性七十九人を検査した。このうち一カ月以内に発熱のあった人は五十二人、同居者でコロナウイルス感染者がいる人は二人、PCR検査を受診したことがある人は九人。PCR検査で陽性反応だった一人も含む。 検査結果では、一般市民の百四十七人の4・8%にあたる七人が陽性、医療従事者五十五人のうち9・1%の五人が陽性だっ
全国の警察が変死などとして扱った十五人が、新型コロナウイルスに感染していたことが判明した問題。そのうちの一人が、東京都世田谷区の社員寮で急死した五十代の男性会社員だった。単身赴任中の男性は発熱後、保健所に相談しようとしたものの電話がつながらず、PCR検査を受けられたのは発熱から六日後。検査結果が出たのは、命が失われた後だった。 (小野沢健太)
新型コロナウイルスの感染に関する検査や終息に向けた活動を行う国立感染症研究所(東京都)の人員や研究費の減少傾向が続いている。外部の有識者は十年前から今回のような感染症流行時に支障を来すとして増員、増額を要望していたが、歴代政権は聞く耳を持たなかった。研究者らは感染拡大への対応に追われ、専門家は「政府は対策を軽視していた」と批判する。 (川田篤志) 「国民に不安を与えるから『新型コロナウイルスの対応が大変』と研究者たちは言わなかったが、人や予算があった方が良いのは明らかだ」 感染研の複数の研究者と二月下旬に意見交換した全厚生労働組合の川名健書記長は現場の苦労をおもんぱかる。別の関係者も「もともと研究者が少ない中で現場は悲鳴を上げている」と打ち明ける。 感染研は、国の感染症対策の中核を担う厚生労働省に置かれた研究機関。新型コロナウイルスの国内感染が確認されて以降、感染が疑われる人の検体採取や、
「自分たちが感染源になるかもしれない。下船直前に再検査してほしかったのに」。十九日午前に下船した広島市の七十代男性と六十代女性の夫婦が検査で陰性とされたのは、十日以上前。船内ではその後も多数の感染が判明しており、夫婦は「本当に大丈夫なのか」と不安に駆られている。
日本国憲法が七十三年前の十一月三日に公布されたことを記念した祝日「文化の日」を「明治の日」に変えようとする動きが、自民党内で本格化し始めた。文化の日になる前は、明治天皇の誕生日に当たる祝日だったためだ。戦中・戦前に戻るかのような改称には、有識者からも疑問の声が出ている。 保守系市民団体「明治の日推進協議会」(会長・塚本三郎元民社党委員長)は三十日、国会内で集会を開き、自民党議員でつくる「明治の日を実現するための議員連盟」(古屋圭司会長)に、改称に賛同する百万人超の署名を手渡した。古屋氏は、改称のための国民の祝日法改正案について「超党派をつくって国会提出を目指し頑張っていきたい」とあいさつした。
岩波書店(東京都千代田区)とKADOKAWA(同)は十日、吉野さんが科学への興味を持つきっかけになった本として挙げた英国の科学者ファラデーの著書「ロウソクの科学」の増刷を決めた。
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